富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)とサーバーワークスの2社は2月1日、企業のDX支援を目的に、合弁会社「富士フイルムクラウド」を設立した。「Microsoft Azure」や「AWS」(Amazon Web Services)の導入支援と運用保守を目的とし、4月から国内における営業開始を予定している。
富士フイルムBI 取締役 専務執行役員の阪本雅司氏は、「われわれは(顧客起点の活動を支援する)CHX(カストマー・ハッピー・エクスペリエンス)を旗印として2023年6月にも『IT Expert Services』の提供を開始した。中堅中小企業のクラウド移行や支援をサーバーワークスと共に取り組む」と富士フイルムクラウドが担う役割を説明した。
左から富士フイルムBI 取締役 専務執行役員 阪本雅司氏、富士フイルムBI ビジネスソリューション事業本部 事業企画管理部 プロジェクト推進室 室長 菅谷秀一氏、サーバーワークス 代表取締役社長 大石良氏
2009年からAWSのクラウドインテグレーションに注力してきたサーバーワークスは、2024年で16年目を数えるAWS専業企業である。当然ながら多数のAWS認定資格保持者を抱え、中には上級者のみ取得できる「AWS Certified Solutions Architect - Professional」や「AWS Certified DevOps Engineer - Professional」取得者も保持する。
サーバーワークス 代表取締役社長 大石良氏は「AWSの売上高は日本円で7兆円を超える。世界から十万社以上の企業がパートナーの名乗りを上げている」と述べつつ、これまでに1万7800件以上のプロジェクトを手掛け、1180社を超えるAWS導入実績を持つとビジネス状況をつまびらかにした。
富士フイルムクラウドに参画した理由は、2023年4月にAWSと結んだ戦略的協業が大きい。協業内容の一つに「中小企業(SMB)におけるAWSクラウド活用とDXを推進」があり、サーバーワークスは「中堅中小企業に幅広い販売網とサービスを持つ富士フイルムBIと取り組む」(大石氏)ことで実現を目指す。なお、サーバーワークスは2024年1月に中小規模の顧客に特化したパートナープログラム「AWS Small and Medium Business Competency」の認定も取得している。
富士フイルムクラウドは富士フイルムBIが66%、サーバーワークスが34%の出資比率となる合弁会社。代表取締役社長に就任する菅谷秀一氏は「2027年度までに売り上げ20億円以上を目指す」と目標を述べた。初年度は約8億円を想定しているという。富士フイルムBIは以前から「Microsoft 365」や「Microsoft Dynamics 365」の提供ビジネスを手掛けており、ここにサーバーワークスが持つAWSの知見が加わることで中堅中小企業のクラウド移行市場を取り込む狙いがあるのだろう。
今回の発表会ではMicrosoft Azure認定資格者数などは強調されなかったが、阪本氏は「顧客が求めるのはクラウド移行と活用。AWS、Microsoft Azureのどちらかが問題ではない。顧客に最適な方法を提案できるのが富士フイルムクラウド最大の特徴」と説明している。
菅谷氏は「富士フイルムBIの従業員1万人と全国33の支社を活用して、国内トップクラスの高品質なIaaSを日本全国に提供する。一方でオンプレミスからクラウドに移行できず、DXを十二分に発揮できない企業に対しても、業務アプリケーションやITサービス連携を通じて支援する」と富士フイルムクラウドが生み出す相乗効果を強調した。また、今後は外部パートナー企業との連携も推進するとしている。
富士フイルムクラウドの特徴