人工知能(AI)の普及に伴い、AIアプリケーションの開発に必要なデータインフラの重要性が増している。ただ、AI開発にはデータサイエンティスト、データエンジニア、AIエンジニア、IT運用担当者など、さまざまな分野の技術者がかかわり、それぞれのニーズも異なっている。これによってデータインフラの複雑性が増している。
NetAppでAIソリューション製品管理担当シニアディレクターを務めるRussell Fishman氏は、同社がそうした課題を解決するのに「ユニークな立ち位置」にあり、企業がAIを活用してビジネス成果を上げるための手助けができると強調する。
同社では「インテリジェントなデータインフラストラクチャー」を掲げている。これは、あらゆる場所でデータ管理をシンプルにし、新たなサイロを作ることなく高いパフォーマンスを提供し、責任あるAIを推進するために信頼できる安全なデータを提供するソリューションになる。
「ストレージOSの『NetApp ONTAP』をはじめとするテクノロジーにより、AIのポテンシャルを最大限に引き出し、優れた競争力の確立に役立てることができる」(Fishman氏)
同社のAIソリューションを導入することで競争力を獲得した事例として、ある製薬会社では、ハイブリッド/マルチクラウド環境全体でデータセットを統合し、広範なデータセットでAIモデルをトレーニングすることで、AIモデルの精度を向上したという。
また、米国の大手自動車メーカーは、自動運転の高速化と大幅な品質改善のために、ハイパフォーマンスなAIワークロードにNetAppのソリューションを使用しており、義肢などのロボットメーカーでは、日常利用のデータをAIで学習し、義肢の性能を高めている。
4月には、NVIDIAとの協業によって生成AIアプリケーション向けの検索拡張生成(RAG)を推進すると発表している。具体的には、「NVIDIA NeMo Retrieverマイクロサービス」から、NetApp ONTAPに保存されているデータに直接接続できるソリューションを開発。これにより、NetAppのユーザーはスプレッドシート、ドキュメント、プレゼンテーション、製図、画像、会議記録のほか、ERP/CRMシステムのデータなどのあらゆる情報を、データ保存時に設定済みのアクセス制御を維持したまま、簡単なプロンプトで照会できるようになる。
「生成AIをけん引しているのはデータであり、NetAppは非構造化データ管理のリーダー企業である」(Fishman氏)
他にも、「NVIDIA DGX BasePOD」上に構築され「NVIDIA DGX SuperPOD」の認定を受けたソリューションや、エンタープライズRAG専用に設計された新しい「NVIDIA OVX」システムストレージ検証プログラムなども発表されている。
Fishman氏は、AI開発のデータインフラとして同社のソリューションが選ばれる理由について「『データ管理のシンプル化』『最高性能のデータアクセス』『信頼できるセキュアなデータ』という一貫した戦略があるからだ」と強調した。
NetApp AIソリューション製品管理担当シニアディレクターのRussell Fishman氏