BPMとは何か
企業活動を進める上でITの活用は不可欠です。企業内の業務は、組織あるいは個人ごとに決められた役割分担のもと、流れ作業で行われています。この「業務プロセス自体をIT化」して企業経営や業務改善に取り組むアプローチ「BPM」が話題になっています。
BPMは“ビーピーエム”と呼び、ビジネスプロセス管理の略です。2000年代の初めに企業の業務プロセスを標準化、最適化することにより業績向上を図る経営手法として紹介されました。BPMは、一般的に次のように定義されています。
“BPMは、業務のプロセスを分析/設計(Plan)、実行(Do)、運用監視(Check)、改善/構築(Action)の段階に分けて、目標(指標)を達成するために、この「PDCAサイクル」を継続的に遂行する業務プロセス改善管理手法です”
BPMが登場する以前にも、経営の品質向上をテーマにしたTQM(Total Quality Management:総合品質管理)、組織やビジネスルールの見直しを行いながらビジネスプロセスの改善に取り組んだBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)、企業の経営資源の有効活用を目指したERP(エンタープライズリソースプランニング)などの方法論が存在しました。
みなさんの中に、これらの取り組みや具体的なプロジェクトに参加され経験された方もいらっしゃると思いますが、BPMはこれまでのものとは少し違った特長を持っています。これまでのものはBPMのプロセスサイクルの中の一部のフェーズのみが対象であったり、導入することによる効果が限定的な取り組み(機能変更に時間とコストがかかる)でした。
BPMは、これらの方法論とは異なり、企業の業務プロセスを明確化することにより、現状(As-Is)を把握し、新たな自ら目標を設定しあるべき姿(To-Be)の実現に向けた継続的な改善を繰り返すことに重点を置いたアプローチを取っています。
あらかじめ設定した主要業績評価指標(KPI)の目標を達成するためのサイクル(閉じたループ)を繰り返すことにより、改善に向けた効果をクリアに測定できるので、投資利益率(ROI)の結果を明確化できることが最大の特長です。
BPMは、企業がかかわる業務全般を対象にしているために、必ずしもIT化の対象にならない業務も含まれますが、業務プロセスがITで可視性が高まり、自動的に制御されることで業務効率のアップ、コスト削減、顧客満足度の向上など多くのメリットをもたらした事例が報告されています。