日本企業には日本製のERPが「しっくり」くる……と感じているユーザーも多いのではないだろうか。この「しっくり」具合のことを、専門的に「業務適合率」と言うことがある。
ワークスアプリケーションズ (以下、ワークス) がシェアを伸ばしている理由のひとつは、ERP製品の販売、コンサルティング、さらに開発まで、一貫して自社で行っているからだという。顧客の業務ニーズやプロセスを、直に開発に反映することによって「業務適合率」を高められるのだ。
業務適合率を高めるための独特な開発ポリシー
ワークスが初めて「COMPANY 人事・給与」の販売を開始したのは1996年9月のことだ。なぜ最初にHR分野だったのか。
同社営業本部でゼネラルマネジャーを務める宮越一貴氏は「海外製のERPでは、日本の商習慣に対応しづらかったから。当時、SAPやOracleを採用した企業の適合率はかなり低く、業務の7割は個別開発だった」と答える。
そうした状況を受け、ワークスではまず日本のHR分野に的を絞り、適合率の高いパッケージを開発した。HR分野では2002年以降、国内の大手企業(売上高1000億円以上)向けのライセンス売上高シェアで第1位(矢野経済研究所調べ)にランキングされている。
HR分野に集中特化してきたワークスは、設立から5年でJASDAQ市場に上場(2001年12月)し、市場調達した資金をもとに会計分野のパッケージ開発に着手した。2004年12月には初の会計シリーズである「COMPANY Financial Management」を正式にリリースしている。現在、会計分野におけるCOMPANYのランキングは第2位(同上)となっている。
2007年1月には「COMPANY CRM」と「COMPANY CRM for Sales」をリリース。CRM分野へも製品ラインを広げており、今後はさらにSCM分野も視野に入れ研究開発が行われている。
ワークスの場合、製品の作り方がユニークだ。COMPANYでは基本的に個別のカスタマイズを行わない。顧客のニーズは汎用化した上で、標準機能に取り込んでいく独特のやり方をとる。宮越氏は「パッケージの標準機能としてお使いいただく。ニーズを汎用化し、標準機能にするのは、当社の開発陣にとっては困難なことだが、それが当社の価値だ」と話す。