複雑多岐な業務プロセスをひとまとめに--BPMはケーブルテレビ会社のサービスインフラをどう変えたか

富永康信(ロビンソン)

2009-05-26 09:00

 テクノロジーネットワークスは、ジュピターテレコム(J:COM)傘下のジェイコムテクノロジーと、ケーブルインターネット専業ISPのアットネットホーム(@NetHome)が2009年1月に合併して設立された企業だ。

 旧ジェイコムテクノロジーは、J:COMをはじめとするケーブルテレビ会社のネットワークインフラの保守・運用やケーブル敷設工事、設計・監視・オペレーション等の技術的支援を行う日本最大のケーブルネットワークエンジニアリング企業。また、旧@NetHomeは、全国147のケーブルテレビ局に対し、ケーブルISPサービス、コンテンツサービスをはじめ、緊急地震速報や「プライマリ電話サービス(注1)」などを提供している。

(注1)IP技術を利用し、NTT東西の加入電話と同じ「0AB-J番号」が利用できる電話サービス。警察(110番)や消防(119番)等への緊急通報やフリーダイヤルも利用可能。

 合併後もこれらの事業は継続されており、ケーブルテレビの回線工事からISP接続に至るまで、一連のプロセスで効率的なサービス運用が可能になったという。

 同社では、ハイスピードデータ(HSD)というインターネット向けサービス、セキュリティ対策などの有料付加サービス、VoIPサービス(プライマリIP電話サービス)、インターネット上の各種コンテンツ配信を提供しており、さまざまなサービスに対する課金、「プロビジョニング」など、数多くのシステムが稼働している。

 なお、ここでいう「プロビジョニング」とは、ユーザーの新規加入時に、設備に対してサービス提供を設定する作業のことを指す。

 これらのシステムは極めて複雑に連携していることもあって、大きな改修を必要とするビジネス要件に応えることが難しいという課題があった。

 また、同社がフルスペックでサービスを提供する独立系ケーブルテレビ局は全国に14局存在し、一方で地域ケーブルテレビ局にも一部のサービスを提供することで、さまざまな業務プロセスが混在することも問題となっていた。

テクノロジーネットワークスのインターネット事業支援モデル テクノロジーネットワークスのインターネット事業支援モデル(出典:ビトリアテクノロジーのホームページより)

BPMはプロビジョニングシステムの負担軽減が目的

 「BPMの導入はプロビジョニングのためのシステム数の軽減が目的だった。それにより、運用コストや新規サービスの導入コスト、既存サービスの改造にかかるコストなどが削減できると考えた」と語るのは、テクノロジーネットワークスでネットワークシステム本部のシステム・エンジニアリング部に所属し、アプリケーション開発グループのグループマネージャーを務める海老澤伸也氏だ。

 大小のケーブルテレビ局を抱え、それぞれに業務プロセスが異なり、多様なサービスが存在する以上、プロビジョニングシステムには、フレキシブルに実装可能な仕組みがないと、機能を個々にコーディングし直さなければならない。海老澤氏は「そこにプロセスマネジメント的な仕組みが必要だった」と振り返る。

海老澤伸也氏「当社のBPM推進の目的は複雑化したプロビジョニングの基盤強化にあった」と語るテクノロジーネットワークスの海老澤伸也氏

ライセンス料と改造費用が大きな負担に

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