ビジネス・モデル再構築の下地を整えなれけば競争に負ける--独SAPのCEOが警笛

日川佳三(編集部)

2005-07-07 20:25

 「日本はいまだにITをコスト削減の手段にしか使っていない。ところが、ITがビジネスを支援しなければ企業は立ち行かなくなる。バリュー・チェーンを再構成し、新しいビジネス・モデルへと改革していく必要があるのだ」--。独SAPの会長兼CEOであるヘニング・ガガーマン(Henning Kagermann)氏は、こう警笛を鳴らす。

独SAP 会長兼CEOのヘニング・ガガーマン(Henning Kagermann)氏

 SAPジャパンは7月7日、独SAPの依頼によるEIU(Economist Intelligence Unit)の市場調査結果を報告、日本企業は新規ビジネス・モデルの構築に注力するとの見解を示した。国内の上級管理職188人にアンケートを取った結果、競争力を高める方法として日本企業の62%が、新製品や新サービスではなく、既存の製品やサービスを上手に運営するための新規ビジネス・モデルの構築が必要だと考えている。何を売るかではなく、どのようにして売るかが問われている。

 ビジネス・プロセスを再構築する手段として、まずは業種ごとのベスト・プラクティスを採用するという段階があり、この上でSOA(サービス思考アーキテクチャ)という基盤によってビジネス・プロセスを簡単に組み替えられるようにするというのが同社のシナリオである。こうした中、日本企業は、そもそもベスト・プラクティスの採用自体が遅れていると同社は指摘する。

SAPジャパンの藤井清孝社長

 ベスト・プラクティスの重要性についてSAPジャパンの藤井清孝社長は、「日本が手作り主義とパッケージ(やアウトソース)の是非を問う哲学的な議論をしているうちに、他国はみなパッケージを採用して効果を上げた。いつの間にか日本は他国に遅れてしまった。(ITソフトウェアに関する)自前主義こそが企業の収益を圧迫している根源だ」と問題提起した。

EIU(Economist Intelligence Unit)

SAPが依頼したEIUの調査結果

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]