グーグルは企業内検索でも巨人となるか
グーグルが、コンピュータによる「検索」という行為のポピュラリティを高め、その概念を変えた企業のひとつであることは間違いないだろう。インターネット上で検索を軸とした多様なサービスを矢継ぎ早に繰り出す企業として名をはせる同社は、その検索技術を企業向けに提供するための製品も提供している。
「Google検索アプライアンス」という製品名称からも分かるとおり、その特徴は検索に関するすべての機能をワンボックス化したアプライアンスとして提供している点だ。ハードウェアごと購入して既存のシステム環境に接続することで、設定や管理の手間をあまりかけずに企業内検索や企業ウェブサイトでの検索サービスを実現できる点が、アプライアンス形式で提供されるグーグル製品のメリットのひとつになる。
Googleの企業向け検索製品は、検索可能なドキュメント数などに応じて、中小規模向けの製品と大規模向けの製品の2種類が用意されている。日本では三井情報開発、ネットマークス、NTTコミュニケーションズといったパートナーがグーグル製品の販売を行っている。

日本で4月12日に発売された中小規模向け製品「Google Mini」の新バージョンは、5万から30万のドキュメントを検索可能。大規模向けのGoogle検索アプライアンスでは、1500万ドキュメントまでの検索に対応する。220種類以上のファイル形式に対応し、大規模向け製品では、IBM DB2、Microsoft SQL Server、MySQL、Oracle、Sybaseなどのデータベースに対するクローリングとインデクシングも可能となっている。
さらに、最新のバージョンアップでGoogle検索アプライアンスに導入された「OneBox」と呼ばれる技術では、モジュールを組み込むことで、各種業務アプリケーションのデータを検索可能になる。Cisco VOIP system、Congos、Oracle Applications、Salesforce.com、SASといったアプリケーション向けのOneBoxモジュールが提供されており、独自のモジュールを開発するためのAPIは同社の開発者向けサイトで公開されている。
グーグルの企業内検索製品のもうひとつの強みは、同社が無償で提供している「Google企業向けデスクトップ」との連携機能だ。Googleデスクトップは、ユーザーのローカルマシン上にあるファイル、メール、閲覧したウェブページなどのコンテンツを検索可能にする製品であり、企業向けデスクトップでは、主に管理機能、セキュリティ機能が追加されている。Google企業向けデスクトップをGoogle検索アプライアンスと統合すれば、ユーザーはローカルマシン、イントラネット、インターネットからの検索結果を単一のインターフェースで一覧できるようになるという。
インターネット検索の巨人であるグーグルが、企業内検索の市場でプレゼンスを高められるかどうかは、そのブランドと、コンシューマー向けのサービスで得たユーザー体験向上のためのノウハウを、どれだけ企業に根付かせることができるかにかかっていると言えそうだ。