いつでも、どこでも、情報の活用を可能にするサイベースの「Unwired Enterprise」戦略

山下竜大(編集部)

2006-06-07 00:49

 変化が激しく、ますます競争が激化する現在のビジネス環境においては、迅速かつ正確な意志決定により、変化に柔軟に対応できるITシステムの実現が求められている。そのためには、どのような形の器に入れても柔軟に変化する水のような情報提供基盤と、どこからでもアクセス可能なモバイル基盤が不可欠といえる。

 Sybaseが推進する「Unwired Enterprise」戦略では、「Liquidity」と「Mobility」という2つの要素により、変化に強い意志決定環境の実現を目指している。そこで、SybaseのIT&テクノロジグループ担当バイスプレジデントであるDr. Raj Nathan氏に、同社のUnwired Enterprise戦略について話しを聞いた。

--SybaseのUnwired Enterpriseとはどのようなコンセプトなのでしょう。

 SybaseのUnwired Enterpriseは、2つの要素で構成されています。「Liquidity」と「Mobility」です。現在、Sybaseは、Unwired Enterpriseというコンセプトにより、3つのタイプのユーザーにソリューションを提供しています。

 まず、SybaseのLiquidityおよびMobilityの両方のテクノロジを使用しているユーザー、次にSybaseのLiquidityテクノロジと他社のMobilityテクノロジを使用しているユーザー、最後に他社のLiquidityテクノロジとSybaseのMobilityテクノロジを使用しているユーザーの3つです。

--Unwired Enterpriseというコンセプトにより、Sybaseはどのような世界の実現を目指しているのでしょう。

 Unwired Enterpriseにより、情報へのアクセスおよび情報へのデリバリをユビキタスに、そしてユニバーサルにしていきたいというのが、Sybaseの目指す方向性です。つまり、デスクトップPCから情報にアクセスした場合でも、携帯電話から情報にアクセスした場合でも、全く同じ使い勝手で、同じ情報にアクセスできることが理想です。

--Unwired Enterpriseが実現する世界により、ユーザーはどのような価値を得られるのでしょう。

 現在のグローバルなビジネス環境において、最も必要とされるのは迅速な意志決定です。

 たとえば、東京都が都民に提供している水道水が何らかの原因で汚染されてしまったときに、汚染レベルを迅速に把握し、いかに対策するかを短時間で決めなければなりません。また金融機関では、為替の動きを正確に見極め、短い時間で売買を決定しなければなりません。

 このようなリアルタイムの意志決定は、いつでも、どこからでも、正確に行うことが必要であり、SybaseのUnwired Enterpriseは、こうした状況において最大の価値を発揮するのです。

--具体的には、どのようにリアルタイムの意志決定を実現できるのでしょう。

 すべての意志決定においてリアルタイム性が必要なわけではありません。そのためには、まずリアルタイムというものがどのようなものなのかを正しく定義し、理解する必要があります。どのように情報を取得するかは、意志決定の環境により異なります。

 たとえば、在庫管理では、必要な情報のすべてを夜間に収集し、翌日の受発注を決定するような意志決定です。このような意志決定は、レポーティング機能により実現されます。

 また、1カ月にどれくらいの電話があるのか、1カ月にどれくらいの販売量があるのか、それに対しどれくらいの価格でマーケティング活動を行えばよいかといった意志決定があります。このような意志決定は、アドホックなクエリ機能で実現できます。

 さらに、利用者が情報を取得するのではなく、システムからのアラートに基づき意志決定を行うというものです。たとえば、銀行の預金残高が100ドル未満になったときには、システムから自動的にアラートが来て対応できるというものです。

 さらに進んだ形として、たとえばIBMに興味を持ち、過去10日間いろいろと調べていたとします。するとシステムが、「過去10日間IBMのことを調べているので、この情報にも興味があるでしょう」とシステムがリコメンデーションしてくれるものです。よりインテリジェントで、プロアクティブな意志決定が可能になります。

 残念ながら、まだ4つ目の段階までは来てはいませんが、Unwired Enterpriseではこのような意志決定の実現を目指しています。

SybaseのRaj Nathan氏 SybaseのIT&テクノロジグループ担当バイスプレジデント、Dr. Raj Nathan氏。

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