オープンソースソフトウェア(OSS)のワイズノットは7月26日、製品やサービスを販売するパートナーとエンドユーザー向けのプログラム「VOSANOBA(ボサノバ)」を発表した。これまでは直接販売を基本としていたワイズノットは、今後間接販売を増やしていく。
今回発表されたVOSANOBA(Value-added Open Source Alliance Network and Open Business Alliance)は、参加するパートナーやユーザー企業などに、ワイズノットとグループ会社がOSSのシステム構築ノウハウやサポートノウハウを提供するといった形で支援していこうとするもの。また、「ワイズノットが取引してきた約800社の顧客企業とワイズノットの業務提携先であるフォーバルの既存顧客企業約15万社に対して、優先的にPRを展開できるというメリットがある」とワイズノットでは説明している。
プログラムは、「プラチナ」「ゴールド」「ノーマル」の3つのグレードと、「Business Solution」「Network」「HR」「Education」という4つのカテゴリで分けられ、計12に区分される。例えばBusiness Solutionは、システムインテグレーター(SIer)や企業内情報システム部門を対象としており、3つのグレードに分かれたサポートが得られるようになっている。
ワイズノットで執行役員を務める吉政忠志氏は「現在、オープンソースといえば代表的なのがLinuxであり、エッジ系システムとして多用されている」とOSSの現状を説明する。だがLinuxに代表されるOSSは今後「エッジ系から基幹系システムへの普及が見込まれており、OSSは“普及期”から“活用期”に転換していくと考えられる」(吉政氏)という。
しかし「OSSが本格的に活用期に入るためには、障壁が存在する」(吉政氏)。吉政氏の言う障壁とは、OSSを管理できる人員が不足しているという「人材不足」、ベンダーやSIerのOSSに対するサポートが不十分という「サポート不足」、OSSで利用できるアプリケーションが少ないという「アプリ不足」の3つだ。吉政氏は、OSSが活用期になるために、これらの障壁をクリアしなければならないと説明する。
「現在のOSSソリューション、OSSへのサポート、OSSを扱える人材、これらすべてが部分的にとどまっている。エッジ系から基幹系までのトータルソリューション、トータルのサポート体制・開発体制が必要となっている、そしてOSSの人材をもっと増やしていかなければならない」(吉政氏)
今回発表されたVOSANOBAは、こうした現状認識を背景に、OSSを活用する際の障壁を一掃していこうという狙いがある。また同社では、VOSANOBAの参加者に対して「トータルOSSサポートサービス」(仮称)を現在計画している。これは、OSSにインシデントが起きた際に、1インシデントでトータルサポートをしようというものだ。PostgreSQLやMySQL、PHP、Red Hat Linux、FreeBSD、ApacheといったOSSを現在、サポート対象として検討している。
VOSANOBAを展開していく意義について、ワイズノットで社長を務める嵐保憲氏は、「これから“OSSの水平統合ビジネス”を推進していくにあたり、VOSANOBAパートナーとの連携が不可欠であり、パートナーと共同展開することは、相互にとってメリットがある」と説明する。
これまで同社は、「原材料の仕入れから組み立て、販売までをすべて一貫して手掛けるという“OSSの垂直統合ビジネス”でやってきた。垂直統合を行うことで企業は参入障壁を築くことができた」(嵐氏)。ワイズノットが今後進める水平統合の意味は、“部品”を他社から購入したりしていくことを想定しているようだ。また水平統合を進めるにあたり、ワイズノットでは「Webサービスとして、各種のOSSアプリケーションの開発・提供を行っていく」としている。ここで「VOSANOBAパートナーとの連携が不可欠になっている」と嵐氏は説明している。