日本オラクルは7月27日、中堅企業向け統合業務アプリケーションの最新版「JD Edwards EnterpriseOne 8.12」の製品戦略について紹介するプレス向けの説明会を開催した。JD Edwards EnterpriseOne 8.12は、2006年7月24日より提供が開始されている。
JD Edwards EnterpriseOne 8.12は、Oracleのミドルウェア製品群である「Oracle Fusion Middleware」に対応することで、SOA(サービス指向アーキテクチャ)をベースに業務アプリケーションを構築できることが最大の特長。柔軟性と拡張性に優れた業務アプリケーション環境を実現できる。
最新版ではまた、財務会計を中心とした購買、生産、在庫、販売管理の従来アプリケーションに加え、営業支援およびサービス管理アプリケーションが追加されている。さらに、「JD Edwards EnterpriseOne Rapid Start」を提供することで、JD Edwards EnterpriseOne 8.12を短期間かつ定額制により導入することが可能になる。
OracleのJD Edwards EnterpriseOne 製品戦略担当バイスプレジデント、Lyle Ekdahl氏は、「JD Edwardsの戦略をひと言でいえば、顧客のIT投資を“保護(Protect)”し、アプリケーションの価値を“拡張(Extend)”し、将来に向けシステムを“進化(Evolve)”させることだ」と話す。
この、保護(Protect)、拡張(Extend)、進化(Evolve)という3つのキーワードは、2005年9月にサンフランシスコで開催された同社のユーザーカンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2005」で発表されたもの。「投資を保護し、価値を拡張し、将来に進化させていくためには、SOAやWebサービスが重要な鍵になる。Oracle Fusion Applicationsが目指すのはまさにこの世界だ」とEkdahl氏は言う。
「特に“将来”という言葉が重要だ。この言葉は、OracleがJD Edwards製品群を将来的にもサポートし続けるということをコミットしたものだ」とEkdahl氏。日本オラクルでは、Oracleのアプリケーション製品に対する顧客の投資を保護することを目的に、サポート契約を無期限に更新できる「ライフタイム・サポート・ポリシー」を、2005年10月に発表している。
日本オラクルが、JD Edwards製品の最大の市場としているのが、年商100億円〜1000億円の中堅企業だ。中でも、「製造業/流通業において強みを発揮することができる」とEkdahl氏。製造業/流通業は、JD Edwardsのビジネスの50%を占めており、次いで建築、商業、政府などのプロジェクト型産業が22%、鉱業、紙/パルプ、石油化学などの装置産業が17%となっている。
この中堅企業向けビジネスにおいて成功するためには、短期間に低コストでシステムを導入できる仕組みが必要になる。そこで日本オラクルが提供するのが、JD Edwards EnterpriseOne Rapid Startだ。
JD Edwards EnterpriseOne Rapid Startは、これまで同社が培ってきたJD Edwardsの導入実績やノウハウ、経験などを体系化したもの。テンプレートベースのシステム導入により短期間で完全に統合されたソリューションを実現できる。業種ごとの特別なビジネスニーズにも対応できる柔軟性も兼ね備えており、「中堅企業へのJD Edwardsの導入を加速することができる」(Ekdahl氏)という。
そのほか、財務会計システムにおけるコンプライアンス(内部統制)への対応を強化。より効果的なコンプライアンス対応ソリューションを容易に構築できるという。たとえば、データベースの重要なデータを変更した場合に、変更されたデータの属性を記録し、変更されたデータの追跡が可能なツール「Data Change Tracker」をはじめ、内部統制向けのさまざまな機能を提供している。
Ekdahl氏は、「効果的なコンプライアンスを実現するためには、ソフトウェアの提供だけでは不十分。業務プロセスを自動化し、一貫した業務文書の管理が可能な仕組みを実現することはもちろん、継続的な規制と監視が可能な体制を確立することが重要になる」と話している。