同社のプラットフォーム技術開発本部 本部長 橋本光廣氏は「World Wide Name(ファイバチャネルのデバイスが持つ固有の認識番号)を仮想化して自動制御を行うことにより、サーバブレードの構成変更時に、SAN側のシステム変更が不要になる。その結果、数時間〜数日かかっていたシステム変更が数分で完了する」と述べ、業務の追加や変更に対する柔軟性を強化できると話した。この仕組みは、同じく9月に提供される同社のミドルウェア製品「Systemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition」との連携で実現する。同ミドルウェアは、サーバ集約における運用管理の容易化や業務の継続性の向上にも役立つ。
各社の仮想マシン技術をサポート
Systemwalker Resource Coordinatorは、サーバ、ストレージ、ネットワークの自律制御を司る中核ソフトウェアとして提供され、今回のVirtual server Editionはブレードサーバの仮想化強化を打ち出している。
「VMware ESX Serverと連携し、仮想・物理を問わないブレードサーバの運用操作性を提供する。また前述のSAN接続仮想化オプションによって、故障発生時の予備系への切り替えも簡素化される」と運用管理の負担軽減につながる点を橋本氏は強調した。今後同ミドルウェアは、VMwareのほか、オープンソースのXen、Windowsの仮想マシン機能全般に対応させていくという。
「VMware社などISVとの協業体制や、オープンソースコミュニティとの共同体制により、高品質なサポートを提供できる」(橋本氏)
IDC Japanの調べによると、富士通の2006年のブレードサーバのシェアは6%と、ほかの主要サーバベンダーに比べると数値的にはあまり高くない。同社 パーソナルビジネス本部 本部長代理の増田実夫氏は、他社より遅れを取っているという点は認めているものの、「技術的には劣っていない。アピールが足りずに市場認知が低いことも要因の1つだろう」としている。ただし、「2006年のTRIOLE BladeServerの発表以来、浸透は進んでいる。富士通ではTRIOLEブランドの下、ハードウェアのみならずミドルウェア、サービス、サポートも提供できる。(5月14日の)新製品の発表で、運用管理も今まで以上にやりやすくなった」とアピールする。
富士通では現在、ワールドワイドで「TRIOLE」ブランドを展開中だ。ブレードサーバ専任の組織も拡充するなど、支援体制も着実に整えている。海外ではFujitsu Siemensブランドで製品を提供しており、日本の約3倍はブレード製品が売れているという。武居氏は、「日本ではブレードは複雑で難しいと考えるようだが、海外はラックサーバのような感覚で導入するようだ」と分析している。
富士通では、2007年度の日本国内におけるPRIMERGYサーバの販売目標を8万5000台としているが、増田氏によると、「ブレードサーバのみでの販売目標は約6000台」。「PCサーバ市場は厳しいが、その中でもブレードの市場は成長している。海外に比べるとまだこれからだが、それだけにチャンスはある」と増田氏は述べ、今後の意気込みを見せた。
ハードウェアや運用管理ツールを拡充したことで、顧客にとって選択肢は広がった。第2ステージから、いよいよ富士通の本格的な巻き返しが始まる。