日本人技術者の“感性”をLinux/OSSに実装したい--The Linux Foundation - (page 3)

田中好伸(編集部)

2007-07-30 17:30

日本でも開発者をサポート

 TLFの活動では、Linuxの保護も重要だ。開発の中核メンバーであるLinus Torvalds氏は、現在TLFから経済的支援を受けて開発活動を続けている。また、先に挙げたMorton氏も、Googleに移籍する前には、OSDLから経済的支援を受けていた。工内氏は「Torvalds氏やMorton氏に匹敵する、あるいは彼らに次ぐような開発者を日本で同様の形でサポートすることがあり得るだろう」と話している。

 開発者へのサポートという点では、シンポジウムやウェブからの情報発信で、「たとえばGnu Public License 3(GPLv3)がどのような影響をもたらすかなどの内容のレクチャーなどを計画したい」(同氏)との意向も示している。

 TLFのもう一つの目的である標準化ももちろん重要である。Linuxでの標準化とは、Linuxの内部構造の標準化を行う「Linux Standard Base(LSB)」だ。これはTLFを母体にしたLinuxディストリビューションの共同プロジェクトである。

 「2年前までは、日本語処理の不足がLinuxの課題として取り上げられていましたが、これはFSGの成果により、最新のLinuxでは一通りのことができるようになりました」(同氏)

 日本語処理はある程度は解決されたとしても、まだLSBが果たす役割は大きい。複数のディストリビューション間、あるいはバージョン間の互換性、アプリケーションの移植性、デバイスドライバなど、LSBの活動はこれからも続いていく。そうしたなかで工内氏は、「再度、日本のベンダー各社の関心を喚起することが必要になっている」と、今後の標準化活動の方針を明らかにしている。

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