ROIやTCOでビジネスアプリと同等に評価されるWeb2.0テクノロジ--フォレスター調査より - (page 4)

G. Oliver Young(Forrester Research)

2007-08-14 12:00

企業は一般的な価値評価基準を重視

 好むと好まざるとに関わらず、Web2.0テクノロジ導入企業の大多数はITに関係しており、ITの優先順位を決めるプロセスは体系的で厳格だ。企業から資金提供を受けるWeb2.0プロジェクトは、ビジネス価値を示す明確な根拠がないと、いかに有益であっても見送られてしまう。

 先ごろ「フォーチュン500社」にリストアップされている某企業の最高情報責任者(CIO)と我々が話をした中で、彼は次のように述べていた。

 「現在、我が社にはWeb2.0に関して実に多くの出資依頼が来ています。しかし、何らかの費用便益を根拠とする良好な投資対効果検討書をまとめることができなければ、そのような分野に挑戦するのは難しいのです」

 それでは、企業はWeb2.0に関するビジネス価値をどのような方法で評価しているのだろうか? 概して、今回の調査では次の現状が確認された。

・一般的な価値評価基準が引き続き主流

 回答者のほぼ3分の2は、導入したWeb2.0テクノロジの成果を判定する場合に、ROI、TCO、内部収益率(IRR)などの一般的な評価基準を用いている(図2参照:注7)。これらの評価基準を選ぶ傾向は、製造、小売、卸売などの製造/販売業界の意思決定者に強く、同業界の回答者の73%が使用している。

 これに対し、企業向けサービス、マスメディア、金融などのサービス業界で同じ回答をしたのは59%にとどまった。調査した企業の規模や業種に関係なく、IT部門の意思決定者のかろうじて半数ほどは、従業員の生産性調査によって評価すると回答した。

図2:Web 2.0テクノロジを導入している企業の大多数は、一般的な基準でビジネス価値を評価
図2
調査対象:従業員数500人以上で、Web2.0テクノロジに投資済みまたは試験導入中の米国企業190社のIT部門の意思決定者(複数回答を許可/出典:2007年6月「US Web 2.0 Online Survey」)
出典:Forrester Research, Inc.

・ほぼ7分の1は価値の評価を未試行

 IT部門の意思決定者の14%は、Web2.0に関して自社がビジネス価値の評価を試みたことがまったくないと回答している。しかし、直接話を聞いた範囲では、この数字は回答者の過少申告によるものと推測される。多くの企業が評価基準を使って価値の評価を試みてはいるものの、ほとんど成果が得られていないためである。

 ただしこれは、彼らが信頼に基づいて導入したWeb2.0テクノロジの価値に納得しているという意味ではない。不確実なROIや評価要件を満たすことの難しさは、多くの企業にとってWeb2.0テクノロジの新規導入や利用拡大の妨げになっている。

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