先述のように、一般的なキーワードによる全文検索エンジンでは、検索窓にキーワードを入力すると、そのキーワードを含むドキュメントが、一定のアルゴリズムに従って順位付けされ、リスト化されて表示される。一方で、Vivisimoのクラスタリングエンジンでは、キーワードにヒットした膨大な数のドキュメントを、形態素解析によって抽出した新たなキーワードや、任意のメタデータを元にして整理した上で「カテゴリ」として分類表示することができる。ユーザーは、自動的に生成されたカテゴリの中から、自分の求める情報を能動的に選択することでフィルタリングを行い、目的としている情報をより見つけやすくなるわけだ。
クラスタリングエンジンによる自動カテゴリ分類を含むVivisimoのソリューションは、当初よりデモサイト「Clusty.jp」や携帯電話向け検索ポータルサイト「F★ROUTE」などで体験することができたが、この1年で導入事例も増え、BtoCで体験できる機会も増えている。
例えば、カービューの運営する「carview.co.jp」、杉並区の「すぎなみ子育てサイト」、角川クロスメディアの「MovieWalker」「グルメWalker」、東京大学生命科学構造化センターの「CSLS Search」などで、Vivisimoのクラスタリング技術が導入されているという。
公開されている導入事例には、BtoCサイトのものが多いが、実際には製薬関連企業などをはじめ、企業内の検索システムとしてこの技術の採用を検討するケースも増えている。「実際に、米国では企業内検索への導入が全体の7割」と、有働氏は日本においても、今後の企業における導入加速に期待を寄せる。
「BtoCサイトで顕著なクラスタリング技術のメリットは、自動的に分類したカテゴリの提示による“意外な発見”をユーザーに提示できる点。これによって、従来の仕組みでは提示できなかった情報にまで、エンドユーザーを導くことができる。また、これはBtoC、企業内検索のいずれにおいても重要なメリットだが、ユーザーが事前かつ固定的に情報の“カテゴリ”を定義しておく必要がない。カテゴリの変更にも柔軟に対応できる」(有働氏)
キーワード+クラスタリング(自動分類)による情報検索は、ユーザーの企業内検索に対する違和感を軽減する有効な手段となるか、今後の動向が注目される。