日本は標準作りにもっと参加すべき
The Open Groupの日本代表として世界のIT現状をつぶさに見ている藤枝氏は、世界の中にある日本の位置づけについて、ある種の危機感を持っている。
「中国やインドがITの実力の速度を増していっているのに対して、日本のポジショニングは下がっているのが現状だ。しかし日本人は、世界で最も几帳面で、正確・清潔好きで器用だと私は思っています。よって弱点はアーキテクチャでしょう。だからアーキテクチャを学び、ITのオープンスタンダード作りに参加すれば、日本人のモノ作りの才能で、どこにも邪魔されることなく世界に受け入れられ、貢献できるとともに、日本のIT産業は、国際競争の中でもっと強くなれるはずです」
これまで日本はITの世界において、「国内独自標準を確立し国内マーケットで勝者になり、それから世界に出ようとしても、携帯電話の例をあげるまでもなく、世界が受け入れるはずがない。せいぜい国際標準ができた後でそれに乗っかって行けばいいというレベルが実情」(藤枝氏)だ。
そうした態度でいる限り、世界は日本をパートナーとしては認めてくれない。日本で生まれたものが世界の標準になるためには、最初から日本のアイデアを、世界の創業メンバーに提出していかなければならない。
たとえば日本で生まれ、日本で一時期最も多く利用されていた「PC-9800」シリーズは、優れたアーキテクチャを持っていながらも世界の標準となることはできなかった。
世界の標準ができあがるのを待っているのではなく、その標準作りに日本が参画することで、世界でのポジショニングを自ら向上させられるはず、というのが藤枝氏の日本のIT産業の再生を願った“オープン標準のススメ”なのである。