オープンな標準作りへの積極参加で、日本IT産業は再生を図るべき--The Open Group - (page 2)

田中好伸(編集部)

2007-10-09 08:00

認証という強み

 藤枝氏は、1961年に日本IBMにSEとして入社してから1984年に同社のマーケティング統括を経て、その後日本IBMを退社。そこからCSK(現CSKホールディングス)で創業者の大川功氏のパートナーとして、1996年まで勤めている。その間、藤枝氏は、CSKインターナショナルやセガなどCSKの関連会社13の役員を歴任してきた。

 日本IBMやCSKにいた頃から「独立しよう」と考えていた藤枝氏は、1996年4月に念願の自分の会社であるReGISを設立した。ReGISはITを中心にしたコンサルティングサービスを手がけており、その設立間もない頃に、The Open Groupが同社の顧客となったのである。

 The Open Groupは1996年1月に、UNIXベンダーのコンソーシアムである「X/Open」とUNIXの実装の規格を定める組織「Open Software Foundation」(OSF)が合併して生まれた団体である。UNIXの商標管理団体として知られているThe Open Groupだが、UNIXを名乗れるかどうかを定めた標準規格「Single UNIX Specification」(SUS)も策定している。SUSは、UNIX中心に異なるOS間の相互運用性を高めるために、米電気電子学会(IEEE)が定めたアプリケーションインターフェース規格である「Portable Operating System Interface」(POSIX)を拡張したものだ。

 ReGISの顧客となったThe Open Groupだが、藤枝氏の経歴・実績を見て同氏に「The Open Groupのアジア・日本代表をやってくれないか」と持ちかけている。これに対して、藤枝氏は日本代表だけを受けることにした。これが1998年1月のことだ。

 「大学でのベンチャービジネスの経営に関した講義を受け持っていますが、そこで学生たちに教えていることの一つとして“ベンチャー企業は手を広げてはいけない”というものがあります。ベンチャー企業は限定した分野で事業モデルを完成させるべきだと思っています。そういった信念から、アジアまでを含めるのはやめて日本限定ならば、ということで日本代表になったんです」

 OSFとX/Openが合併して誕生したThe Open Groupは認証、特にUNIXの商標を管理していることによる収入はあるが、ベンダーから中立でユーザーの立場でオープンな標準基盤を確立することを推進する、メンバーの会費で成り立っているNPOである。

 The Open Groupの具体的な業務は、技術に関するオープン標準作成と、“バウンダリーレス・インフォメーション・フロー”を実証する認証を行うことだ。その技術の主なものでは、ディレクトリサービスに接続される際に使われるプロトコルである「Lightweight Directory Access Protocol」(LDAP)、先ほどのPOSIX、無線でインターネットに接続するためのプロトコルである「Wireless Application Protocol」(WAP)などがある。

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