「日本のソフト業界には最近では3Kだけではなく6Kとか7Kという言葉があることも知っています。しかしそれでは、よい発想は生まれません。ソフト業界に就職したくないという環境を改善していく努力をしなければなりませんので、人材の採用、育成についても取り組みを進めています」
もちろん、日本のソフト技術者が欧米に比べて劣っているという認識はない。ソフトブレーンの開発本部製品開発部長である酒井和真氏はこういう。
「確かに、プログラミングコンテストなどでは中国や東欧の学生が上位を占めている現状があります。しかし、日本特有のきめ細やかさは、こうしたプログラミングコンテストとは次元の違う話です。速くプログラムを書くという点だけで、ソフト開発の能力を推し量ることはできません。速く正解を出すということだけが、すぐれたソフトを生み出すエンジニアの資質ではないのです」
ソフトそのものが、単なる機能だけで評価されるものではなくなっているという指摘だ。同社のeセールスマネージャーのように、コンサルティングから定着するための教育、改善を行うという一連の流れをサービスとして提供するように付加価値の高い開発をするためのきめ細やかな発想が必要になっているという。
さらに松田氏は「今後は自分で自由にソフトを選択し、それらのソフトが連携できているという形が望ましいと思っています。その基盤ができれば、お客様は連携環境にとらわれず、一番良い必要なソフトを選択し、利用できる。そのような基盤づくりをしたいと思っています」という。その仕様が今後MIJSから発表される。
こうした取り組みは日本独自のユニークなものであるし、それがとりもなおさず、日本のソフト業界が世界一になれる布石でもある。