MIJS企業訪問(第13回)構造計画研究所--ベンダー間のすき間を埋めて価値を創造する - (page 3)

宍戸周夫(テラメディア)

2007-10-24 12:00

業界をかつての花形産業に

 構造計画研究所がMIJSに参加した理由にも、独自のものがある。

 「今回のMIJSへの参加は、基本的には勉強だと思っています。日本の会社のマーケティング手法などについてあまり知りませんので、うちのメンバーもそうした方々と交わった方がいいと思いまして」

 この裏には、日本のソフト会社の労働条件や給与体系を知りたいという要求がある。

 「私が今一番気にしているのは、日本のSIerやソフトウェアエンジニアの方々の給料が低すぎるということです。良い企業、そして良い業界になるためには、社員の待遇を改善しなければなりません。その点で、今日本のソフト業界に突き付けられているのは、海外の企業に勝つか負けるかではなく、もっと多くの人たちからあこがれられる業界になることだと思うのです」

 かつては花形産業ともてはやされた日本のソフト業界が、いつのころからか、6Kとか7K職場と呼ばれるようになってしまった。「きつい」、「給料が安い」、「帰れない」など、いろいろな声がある。

 服部氏は、「その背景には受託中心の、かつてのソフト会社がたどった道のりがある」と指摘する。請け負い型の企業体質を脱出するため、ある企業はパッケージソフトの開発・販売に転じた。それによって確かに下請け体質からは脱却することができたが、一方でグローバル規模でのあくなき競合の世界に突入した。

 そしてもうひとつが、構造計画研究所がたどった道だという。

 「弊社はソフトの開発技法や見積もりなどを整備することで、ソフト開発できちっと対価を得るという取り組みを進めてきました。お客様のところにエンジニアを常駐させたりせず、決して下請けという立場ではなく付加価値を創造し、正当な対価を得てきたつもりです」

 構造計画研究所には、MIJS活動を通じて、日本のSIer、ソフト会社にかつての花形産業の姿を蘇らせるという役目がありそうだ。

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