ライセンス売り上げはあまり芳しくないようだが、ゼンドのそのほかの収益源は、システムインテグレーション(SI)事業と、サポートやコンサルティングなどのサービス事業から構成されている。売り上げとしては、「プロダクトよりも、サポートやコンサルティングなどのサービスの方が伸び率が高い」(同氏)という。これは、システムの検討や構築、運用などの各局面で、同社のPHPやLAMPに関する技術力が高いものであることの表れと言えるだろう。加えて、サービス事業はプロダクト事業よりも利益率が高いことから、ゼンドとしてはサービス事業を伸ばしていきたいとしている。
「SI事業は受託開発であり、SIに特化しようとすると“体力勝負”に陥る可能性がある。今後は、SIの利益率を上げるようにしながらも、コンサルティングやサポートなどのサービスを中心に、SIとプロダクトライセンスを伸ばしていきたい。サービスから、SIとプロダクトライセンスに売り上げを広げていこうと思っています」(同氏)
ビジネスとしては“薄い”
OSSを中心にしたビジネスはまだ始まったばかりということもあってか、各社順調に展開しているとはなかなか言いにくい。そうしたことについて鈴木氏は「キーワードとしてOSSは社会に浸透してきていますが、OSSだけの収益性を考えると、ビジネスとしては“薄い”」という実感を持っている。
「OSS関連ビジネスで“成功”しているとはっきり言えるのは、米Red Hatだけではないでしょうか。日本で成功している企業は今のところ存在していないと言っても、言い過ぎではないでしょう」(同氏)
鈴木氏が、その原因と考えているのが「OSSを事業化していく際の、うまい事業モデルが描き切れていない」ということだ。各社がOSSを事業化したのは、元をたどればRed Hatの成功にあると言うことができるだろう。しかし、Red Hatが成功したという事業モデルも現段階では、各社が成功するようなものにはなっていない。また「大手SIerがOSSでSIをやると言っても、たとえば億円単位の大きな売り上げに結びつているかといえば、そうはなっていない」(同氏)という状況も存在している。
当たり前になったOSS
キーワードとしてOSSが社会に浸透してきているように、企業内の情報システム導入の検討でも、OSSが候補になるのは当たり前になってきている。商用プロダクトとOSSが同列の候補として検討されている。しかし、このままでは、「OSSと、また違うものを組み合わせる、あるいはOSSを、これまでとは違った“味付け”にして提供する、などのことをしていかないと、OSSは今以上にブレイクすることはない」と鈴木氏は指摘する。