「スマートなプロジェクト管理」とは?
ここで、これまで5回の連載を通じて解説してきた、A君による「初めてのイベントプロジェクト」のマスターマップをお見せしよう。
イベントは東京国際フォーラムで実施されることを想定し、背景イメージには会場の画像を採用している。本マスターマップから、これまでに紹介してきた実施体制の詳細マップや、作業計画の詳細マップをリンクし、統合的に管理している。
また、各トピックの重要な関係がリレーションシップで視覚化されており、つながりが一目でわかるように作ってある。
最後に、まとめとして、本連載のテーマである「スマートなプロジェクト管理」の本質をまとめておきたいと思う。
私は、自らのプロジェクト経験を通じて、プロジェクトの成功に最も大切な要素を「スマート(SMART)」と定義し、実践してきた。これは、
- Success(成功イメージを共有すること)
- Mission(使命と目的を見極め、共有すること)
- Action(具体的な活動計画を作ること)
- Role(役割と責任を明確にすること)
- Time(時間の使い方を変えること)
これら、5つの語の頭文字を取ったものである。
プロジェクトマネジメントの方法論が、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)であれ、P2M(Project Program Management)であれ、それ以前にこの「SMART」という本質を見失ってはならないと思う。
知識社会で生き残るために企業や組織にとって最も重要な課題とは何か?
それは、組織で働く人々の頭の中に散在するバラバラなアイデアや知識を目的達成のために関連付け、完成イメージとしての全体像を描き出し、適切に行動しながら学び続けることである。
結びに代えて
本連載では、企業活動や事業活動で遭遇する「プロジェクト」をテーマとして、新たなマッピングアプローチと、それをMindManagerで実践するための様々なテクニックを5回にわたって紹介してきた。
そして、本連載自体も1つのプロジェクトとして、MindManagerをフルに活用し、企画、計画、設計、実行(執筆)、マネジメントといった一連のプロセスを「スマート」に進めながら、期限通り目的地へと到達できた。
誤解のないようにつけ加えておくが、私はこの連載を通じて「MindManagerこそが万能のツールであり、これさえあれば何でもできる」と言いたかったわけではない。
ただ「マインドマップ」は本来「ノート法」であるという点に着目すると、従来のノートに代わるものとして、ありとあらゆる場面で使ってみる価値があるのではないかと思っている。
私は、そこから従来のノート法では気づかなかった様々な「気づき」と「発見」があることを誰よりも実感しているつもりだ。
さらに視野を広げれば、私たちの人生もまさに「一大プロジェクト」であると言える。
MindManagerは、私たちにこれまでにない創造的な時空間を提供しながら、自分の頭で考える喜びと、自分の足で歩くためのチカラを与えてくれるビジネスライフツールであると同時に、自分らしさを創造するための「自己実現支援ツール」なのだと思う。
これまでの連載で紹介してきたように、MindManagerでは、企業の視点で、プロジェクトマネジメントをナレッジマネジメントへと発展させていくことができる。これと同様に、ユーザー一人ひとりの「人生」というプロジェクトにおいても、セルフマネジメントのためのツールとして十分に活用できると考えている。
本連載をヒントに、多くの方々のビジネスライフやビジネスプロジェクトが、よりスマートで実り多いものにならんことを切に願い、連載を終えたい。
最後に、読者をはじめ、本連載の機会と協力をいただいたZDNet Japan編集部の柴田克己氏、マインドジェットの長谷川清氏に、厚く感謝の意を述べたい。本当にありがとうございました。
(連載協力:マインドジェット)
筆者紹介
渡邉安夫(わたなべ やすお)
有限会社シンプル・ビジョン 代表取締役 ソース公認トレーナー
システムインテグレーター、データベースベンダー、コンサルティング会社を経て、2001年4月に自らのビジョン「知識社会の地図とコンパスの創造」を掲げ、起業する。IT関連のプロジェクトにおける豊富な経験と実績を活かし、混沌とした現代にふさわしい新しいビジネスワークスタイルを提案し続ける。ビジネスやプライベートの多様なビジネスライフシーンにMindManagerをはじめ様々な思考法を幅広く融合し、効果を高めるエキスパート。中でも、プロジェクトや自己発見、自己創造等のキャリアの分野における実績多数。その豊富な経験と実績によって培われた独自のマッピング手法を駆使した効果的なトレーニングやコンテンツ、コンサルティングを提供することで、「21世紀の知図革命」を推進中。