ITシステムが止まってしまえば、企業のビジネスが止まってしまう。ミッションクリティカルな基幹系システムはもちろんだが、メールやグループウェアなどの情報系システムでも、その傾向が年々強くなっていることは誰の目にも明らかだ。その一方で経営層からIT部門に対するコスト削減圧力も強くなっていることもまた事実だ。
そうした状況下でIT部門が選択できる手段はさまざまあるが、中でもわかりやすいのがITシステムに対する費用対効果(Return On Investment:ROI)の調査だ。しかし、ROIの調査を続ける中でIT部門は、事前に予想はしながらも、結果を目の当たりにして改めて驚くのである。IT予算の大半が現行のシステム維持に費やされている――。
これはある調査で判明していることだが、IT予算の75%が現行のシステム稼働に費やされているという。企業として売上高や営業利益を拡大する“攻め”の新しいシステムを開発するには、IT予算の2〜3割で賄わざるを得ないのである。
また、IT予算全体の半分以上を人的経費が占めているということも忘れてはいけない。加えて、システムの効率化などを図るために、現行のシステムに新しいテクノロジーを付加することで、年間10%ずつシステムの管理コストが増大しているということも明らかになっている。
現行のシステムに新しいテクノロジーを付加したことで、システムの効率化が向上したり、運用管理コストを低減できればいいが、なかには新しいテクノロジーが加わったことで、システムとしての問題が起こるようになってしまうこともままあることだ。それらの障害を解決するために、IT部門のスタッフが残業などをせざるを得なくなり、それがIT予算の増大という問題につながってしまうのである。
こうした問題の背景にあるのが、システムの運用管理における自動化がなされていないという事実だ。それとともに背景にあるのが、「企業内のユーザー部門に提供される“ITサービス管理”のプロセスが可視化されていない」(BMCソフトウェア)という事実だ。
ITサービス管理とは、ITシステムがもたらす機能、いわばITサービスを企業内のユーザー部門に、あるいはデータセンターや外部委託事業者(アウトソーサー)などといったITサービス事業者が企業ユーザーに、効率よくニーズに合致した形で提供する仕組み、ITサービスの運用を維持管理していく仕組みだ。簡単にいってしまえば、ITサービス管理とは、ITサービスを“カイゼン”する取り組みと言うこともできる。
BMCソフトウェアではこの数年、ITサービス管理を、企業のビジネスとITサービスを効率よく管理する「ビジネス・サービス・マネジメント」(BSM)というコンセプトに基づいた製品群を提供し続けている。
そうした同社では2007年4月から2008年3月までの2008年度の目標として(1)コアマーケットの確立、(2)専門性のさらなる強化、(3)顧客との関係強化――という3つの目標を立てている。