2〜3年先の中期の視点では、データセンターに関係する法律やソフトウェアの効率性、あるいはハードウェアやソフトウェア全体を含めた資産のライフサイクル管理などを考慮する必要がある。そして2〜3年先より先の長期的視点では、データセンターが排出する熱のリサイクル、代替エネルギー源などをどうすべきか検討すべきとしている。
「データセンターをグリーン化していこうとする際には、それぞれの課題に優先順位を付けて段階的に取り組む必要がある。一足跳びに長期の課題に取り組むのは望ましくない」(Dawson氏)
Dawson氏は、データセンターをグリーン化していこうと取り組む際の重要なポイントとしてデータセンターを“生きた有機体”として考える必要があると主張する。生きた有機体とは「何らかの形で安定とした統一体として、刺激への反応、生殖、成長、維持が可能である」という定義によるものであり、データセンターは何らかの刺激に反応するものであり、増殖することが可能であり、その形を成長させていくと同時に、統一体として維持させていくことができるのである。
データセンターを“生きた有機体”とするのは、その内部でメインフレームからC/S型システム、そしてより高密度でサーバを収納できるブレードサーバという変遷をたどっているからだ。ブレードサーバは、システムの粒度がより細かくなると同時に、メインフレームという変更しにくいものから、システムをより柔軟に変化させることができる。この段階では、システムの設計範囲が従来とは異なるとともに、ネットワークアーキテクチャは変化、そしてソフトウェアの設計も変化するようになっている。
“生きた有機体”としてのデータセンターは今後グリーン化されていくことになるが、その際には、照明や冷却装置、電気、機械系統の総体でエネルギー効率の高いシステムが必要とされる。また、物理的な建屋、付属の設備や部品は、エネルギー効率を考慮して、比較的影響の少ない素材と建築技術を利用して設計・選択されることになる。加えて、廃棄物と水や熱、代替フロンなどの排出物は削減、リサイクルされることが重要となってくる。
データセンターの設備については、ライフサイクル全般にわたる環境への影響を考慮し、環境に関する適切な方針と管理を実施するプロバイダーから選択されるべきとしている。エネルギー源については、太陽熱や風力、水力、地熱、燃料電池、熱電併給(コージェネレーション)などの再生可能もしくは地域で生成されたエネルギーを適切に利用することが重要となってくる。