ERPシステムの可能性と限界
さて、アプリケーションとしてのERPの構造に目を転じると、購買管理ソフト、生産管理ソフト、販売管理ソフト、人事管理ソフトなどを、会計管理ソフトのもとに1つのパッケージとして統合したものと捉えることができる。
各業務が各ソフトで個別に処理され管理されるのではなく、業務で発生した伝票処理がその都度、1つの巨大な大福帳型データベースに登録され、業務の流れに沿ってデータが受け渡され、処理されていくイメージだ。いわばERPは、企業の業務にひもづけた会計データを一元的に管理できるようにしたアプリケーションであり、見ようとすれば業務の中に存在する問題点や、悪い流れを見つけられるかもしれないソフトと言えるだろう。
1990年代と比較すれば、現在のコンピュータのパワーは圧倒的に高い。ERPの大きなデータベースをストレスなく動かし、高速にデータを処理できるようになったはずた。だとすれば、ERPから得られるデータがなかなか収益につながらないのは、現場や会議で下される判断自体が間違っているか、正しい判断を下すために必要なデータが欠けているからなのかもしれない。
次回からは専門家の意見を交え、ERPの歴史や正しい定義、その本質について掘り下げてみよう。