そもそもERPとは何なのかを改めて考える - (page 2)

梅田正隆(ロビンソン)

2008-11-07 18:19

ERPシステムの可能性と限界

 さて、アプリケーションとしてのERPの構造に目を転じると、購買管理ソフト、生産管理ソフト、販売管理ソフト、人事管理ソフトなどを、会計管理ソフトのもとに1つのパッケージとして統合したものと捉えることができる。

 各業務が各ソフトで個別に処理され管理されるのではなく、業務で発生した伝票処理がその都度、1つの巨大な大福帳型データベースに登録され、業務の流れに沿ってデータが受け渡され、処理されていくイメージだ。いわばERPは、企業の業務にひもづけた会計データを一元的に管理できるようにしたアプリケーションであり、見ようとすれば業務の中に存在する問題点や、悪い流れを見つけられるかもしれないソフトと言えるだろう。

081107_erp01.jpg ERPパッケージの導入による業務データ統合のイメージ。各業務が各ソフトで個別に処理・管理される旧来のシステムに対し、データを一元管理し業務の流れに沿って処理していく。

 1990年代と比較すれば、現在のコンピュータのパワーは圧倒的に高い。ERPの大きなデータベースをストレスなく動かし、高速にデータを処理できるようになったはずた。だとすれば、ERPから得られるデータがなかなか収益につながらないのは、現場や会議で下される判断自体が間違っているか、正しい判断を下すために必要なデータが欠けているからなのかもしれない。

 次回からは専門家の意見を交え、ERPの歴史や正しい定義、その本質について掘り下げてみよう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

関連キーワード
ビジネスアプリケーション

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    2023年OTサイバーセキュリティの現状レポート--75%の組織が過去1年間に1回以上の侵入を経験

  2. セキュリティ

    サイバーセキュリティ強化に向けてマイクロソフトが示す実践的な指針を紹介

  3. セキュリティ

    5分でわかる「AWS WAF」--基礎知識から運用で陥りやすい3つの落とし穴までを徹底解説

  4. セキュリティ

    最前線で活躍するトップランナーと本気で考える、これからのサイバーセキュリティ

  5. 経営

    ガートナーが指南、迅速な意思決定を促す「AI」活用を実践する3つの主要ステップ

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]