SAPジャパンは7月23日、統合基幹業務システム(ERP)を中堅企業向けに従来より短期間・低コストで導入できるプログラム「Business All-in-One FAST-START PROGRAM」(FSP)を開始することを発表した。
同社では、年商500億円未満の中堅企業を対象にしたERP導入パッケージである「SAP Business All-in-One」を提供しているが、今回のFSPは、年商50億〜200億円の中堅企業規模で、対象業種をサービス業、商社・卸、組み立て製造業の3つに絞り込んでいる。
FSPは、ERPパッケージ「SAP ERP」を“さらに安く”導入したいという目的でなされたものであり、財務会計、管理会計、購買/在庫管理、販売管理、生産管理、プロジェクト管理といった機能をすべてそろえて3000万円台から購入できるとしている。
より安くという目的のFSPでは、ウェブ上でツール「Online Configurator」を活用することで、システム構成のシミュレーションを行うことができる。Online Configuratorでは、従業員数やライセンス数を入力すると同時に、SAPジャパンが提供する業務プロセスの中からユーザー企業が必要とするものを選択することで、ハードウェアの費用、ライセンス額、導入にかかる費用を試算することができる。
Online Configuratorで選択された業務プロセスは、その流れと実現される機能の内容も事前に詳細に確認することができる。また、選択された業務プロセスは設定・調整されるとともに、ユーザー企業の要件に特化したデータを活用することで、デモやプロトタイプ目的で利用できる。
Online Configuratorでのシミュレーション結果を確認した後で、実際に導入決定となった場合には、シミュレーション結果がパートナーに伝達されるとともに、OSやデータベース、シミュレーション結果に基づいた業務プロセスの機能を盛り込んだSAP ERPがプリインストールされたサーバがパートナーから出荷されることになる。
SAPジャパンでは、こうした施策によって、ERP導入における課題といわれる仕様決定や導入にかかる期間が短縮されることで、Business All-in-Oneに比べて半分以下の期間で導入できるとしている。
FSPの導入プロジェクトでは、第2段階として実際に操作するエンドユーザーに対するトレーニングプログラムも用意されている。このトレーニングでは、SAPシステムそのものの特徴やBusiness All-in-Oneの特徴などの基礎知識はもちろん、基本操作、会計・在庫/購買・販売・サービス・生産などの業務処理別の操作方法などが教えられるというものになっている。
FSPよりも対象企業が広いBusiness All-in-Oneでは、「SAP ERPを1億円から利用できる」ことを目的に展開されている。それとの比較から同社では、FSPについて「1億円でもまだ高いとする中堅企業の声に対応した」(SAPジャパン地域営業本部バイスプレジデントの神戸利文氏)と説明している。
今回のFSPの背景としては、Business All-in-OneでもSAP ERP導入に踏み出せない中堅企業に対応したものと同社では説明する。中堅企業からは「ERP導入は本当のところいくらぐらいで導入できるか、まず初めに知っておきたい」という声や「ERPをより早く始めたい、より早く効果を出したい」という声にしたとしている。