サーバとストレージの間に“ネットワーク”が生まれた理由(前編) - (page 2)

辻 哲也(ブロケード コミュニケーションズ システムズ)

2009-01-29 08:00

 上記の問題に対処するため、次に規格化された「SCSI-3」では、ある変更が加えられた。SCSI-1/2では、コンピュータと周辺機器間でやり取りする情報である「コマンド(SCSIコマンド)」と、その伝送路である「トランスポート」が一括で規格化されていた。これに対してSCSI-3では両者を分離し、コマンドに関する規格とトランスポートに関する規格が、個別に提供されるようになった(詳細はhttp://www.t10.org/scsi-3.htmを参照)。

 これに伴って、SCSI-3ではシリアル伝送方式がサポートされ(パラレル伝送方式も引き続きサポートされている)、かつ多様なトランスポート技術に柔軟に対応できるようになった。さらに、トランスポートプロトコルが変わってもSCSIコマンドはそのままで使用し続けることができる。SCSI-3でのトランスポートプロトコルとして代表的なものは、「ファイバチャネル(Fibre Channel:FC)」や「SAS(Serial Attached SCSI)」、「iSCSI(Internet SCSI)」などである(図1)。

図1 図1:SCSI技術の変遷

 もう一つ見逃せない点が、コンピュータとストレージの間に“ネットワーク”が登場したということであり、このネットワークこそがSANである(図2)。SCSI-3とそのトランスポートプロトコルとしてのFCなどの登場により、SCSI-1/2規格では困難だった“ストレージデバイスの共有”が可能となった。高価なディスクやテープライブラリを複数のコンピュータ間で共有できるようになり、ストレージの利用効率が格段に高まっていった。

 これまで紹介してきた内容のまとめとして、SANについては下記の3点を理解しておいていただきたい。

  1. SANはコンピュータとストレージの間に存在する“ネットワーク”である
  2. SANにはさまざまなトランスポートプロトコルが存在するが、その上位ではSCSIコマンドがやりとりされる
  3. SANは“デバイスの共有”を目的としている
図2 図2:SAN(Storage Area Network)

(後編は2月3日に掲載予定です)

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