HPの実例に見る「逆境」を「飛躍」へ変革するためのいくつかのヒント - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2009-04-23 19:29

 HPでは、それまで組織・地域ごとに部分最適化されていたプロセスやシステムを、グローバルレベルでの「全体最適」へと変革することを目指した。世界で共通のビジネスプロセスやインターフェースについては、徹底的にシェアすることを決め、共通性の高い業務をグローバルレベルで標準化し、集約することを目指した。社内調査によって、特に標準化のメリットが期待できた業務は「受発注」「経理」そして「人事」だった。

 また、「業務プロセスの重要な入り口」であるにも関わらず、会社による管理ができていないクライアントPC(シャドーIT)を排除。全世界20万台のPCをグローバルで一括管理することにより、それまで270億円/年ほどかかっていた、クライアント環境の管理コストを、110億円/年へと63%削減した。さらに、同様のアプローチで、プリンティング環境のコストも大幅な削減に成功したという。

 こうした動きと合わせて、アプリケーション数も6000から1500へ、データセンター数はグローバルで85カ所から3カ所へ、データマートに至っては750以上あったものを、1つのデータウェアハウスへと集約することに成功。2005年から2008年の3年間で、結果的にITコストを4000億円から2000億円に半減させることに成功した。

2008年のHP業績 プロセスの改革、ITの改革によって、2008年までにHPの株価と営業利益率は大きく好転した。

 また、同時に進められてきた新たなテクノロジへの取り組みのキーワードとして「クラウドコンピューティング(社内クラウド)」と「Green IT」について言及。システムインフラの「仮想化」「自動化」「省電力化」を徹底して追求することにより、その効果は、基幹アプリケーションのインフラ構築にかかる時間が5カ月から5週間に短縮。サーバについては処理能力を3.5倍に高めながら、台数は2万5000台から1万5000台に削減。エネルギー消費量については60%の削減(コスト換算では65%削減)を実現したとする。

 小出氏は、企業がクラウド化とグリーン化へ取り組むにあたっては、「運用の自動化」「アプリケーションの標準化」「IT基盤の統合・仮想化」「省電力かつ高効率なファシリティ」の4点が成功のカギになると述べ、「HPでは、これらすべてを実現するためのリソースを提供できる」として、講演を締めくくった。

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