SAS Institute Japanは、企業向けの組織的分析・予測モデルの管理ソフトウェア、「SAS Model Manager」を発表した。個々のモデルを一元的に管理すると同時に、最も精度の高いモデルを容易に選択でき、効率的に活用できるようにしていることが特徴。金融業での与信管理や、商品購買傾向分析をはじめとするマーケティングなどの業務に利用されることが見込まれている。
分析モデルは、分析に必要なデータ定義、使用データ項目、分析手法などの情報を、過去のデータから導き出して構築される。これに、予測のためのデータを当てはめることにより、予測結果が得られる。同社執行役員ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏は「日本企業が競争に勝ち、収益を最大化していく鍵は、分析力の強化にある」と指摘する。同社としては、分析を一層高度化させることにより、現状を理解するための「見える化」を、将来を予測する「予見力」へと発展させるとともに、分析結果を共有、活用できるようにすることで、「分析力強化」を求める企業の要望に応えていく意向だ。
「SAS Model Manager」は、種類の異なるツールで作成された、まざまな分析モデルをメタデータ・リポジトリを経由して登録することが可能。これらのモデルを、組織、プロジェクト、バージョンなどといった単位で整理し、一元的に管理できる。
また、比較グラフなどによって、複数の分析・予測モデルを検証し、どのモデルの精度が良いかを見極める機能も持つ。加えて、メタデータ・リポジトリから、モニタ用データを取り込み、時系列比較グラフを作成してモニタリングすることも可能。これらの機能により、最高の精度を持ったモデルを容易に選択することができるとする。
同社ビジネス開発本部プラットフォームビジネス開発部長の池本洋信氏は「モデルの精度は、新たなデータの適用などにより、作成時とは異なってくる。環境や状況の変化により、精度は劣化する傾向がある」と話す。モニタリング機能によって、時間経過とともに劣化する予測・分析モデルの精度を高く保てる点が「SAS Model Manager」のメリットということだ。
モデルの配置プロセスを効率化していることも大きな特徴で、モデルの管理者は、管理や比較機能により、複数のモデルから最良のモデルを選び、GUIで安全に配置することができる。これにより、精度の低いモデルを選んでしまうことなどによるビジネスリスクを低減できるという。従来、これらの作業はモデルを作成する熟練ユーザーでなければ行うことが困難だったが、「SAS Model Manager」では、一般ユーザーでも容易にモデルを管理し、分析を行うことが可能になるとしている。
「SAS Model Manager」の販売価格は1000万円から。年内に10本程度の販売を見込む。