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そもそも「連結経営」とは何か?--損益計算書と貸借対照表の“微妙”な関係

森川徹治(ディーバ)

2009-07-08 08:00

どこから要求されるのか

 「連結決算」ではなく「連結“経営”」の話をしよう。

 連結経営とは、簡単に言えば「独立した会社の集団を経営する」ことである。もう一段掘り下げて言うならば、「株式の保有により経営権を持つ企業を統治し、統治される企業全体として、経済価値の最大化を目指す経営」である。少し踏み込むと途端にわかりにくくなる。

 では、社会的に認知された定義はあるのだろうか。手元の辞書(「スーパー大辞林 3.0」)で引いてみる。そこに「連結経営」はない。関連するものを探すと、幸い「連結決算」があった。「親会社と子会社、関連会社を含めた企業グループなどが、単一の組織として行う決算」とある。

 読み替えると連結経営とは「親会社と子会社、関連会社を含めた企業グループなどが、単一の組織として行う経営」となる。ただし、連結決算の説明は「証券取引法により一定の企業集団に要求される」と続く。ここでつまずく。つまり、連結経営は証券取引法により要求されるものではないからだ。ここで、連結経営とはどこから要求されるものなのだろうかと疑問が沸いてくる。

事業活動は経営の“意志”から

 独立した自治権を持つ組織が集団となって統治される例は数多い。時代を遡れば江戸時代の幕藩体制もそれにあたる。未開の土地を切り拓いたのではなく、すでにある国を取り込んでいった。武力によるM&Aである。

 幕府を開いた徳川家康は「厭離穢土欣求浄土(えんりえど、ごんぐじょうど)」という旗印、つまりビジョンを掲げていた。その真意はともかく、そのまま受け取れば平和な世界を実現するということである。そのビジョン実現手段として幕藩体制が創られた。260有余年におよぶ平和をもたらしたという点ではビジョンとその実現手段がきわめて良好に機能したとも言える。

 時代を現代に近づける。「ケイレツ」という企業集団がある。資本関係よりも取引関係による実質支配である。ケイレツという企業集団は高度経済成長時代を通して、日本の製造業を世界のトップレベルに押し上げるのに貢献した。現在でも日本の中核産業である製造業は完成品メーカーを頂点にさまざまな部品メーカーにより構成されている。

 ケイレツは過度な原価低減要求の話など騒がれたこともあるが、基本的には人間の相互信頼に基づく協力関係を基本とした企業集団である。ケイレツの求心力は事業活動そのものであるが、事業活動とは経営の“意志”から始まるものである。

“外圧”としての連結会計

 連結経営という言葉が新聞紙面などに当たり前のように出始めたのは2000年以降である。日本でも連結決算中心の会計制度が導入されてから、連結経営という言葉がよく使われるようになった。連結会計制度によりグループ企業が明確に定義された。経営者は親会社の業績ではなく、企業グループ全体の業績により市場から評価されるようになった。

 ここに大きな問題がある。連結決算中心の会計制度とは、経営者の“意志”によって決めたものではないからだ。従来、経営者は自分が直接関与する企業の業績を中心に注意を払い経営を行ってきた。人によっては資本関係ではなく独自の解釈で企業グループを定義し、経営を行ってきた。そこに、資本の理論を中心とした企業グループ経営が“外圧”として入ってきたのである。

 連結経営は、グローバル社会からの要請である。日本で会計ビッグバンと称され、現在も変革が続く会計制度の変更は日本国内のニーズから出てきたものではない。

“意志”への昇華で価値を発揮

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