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財務諸表だけでは不十分--グループ全体でデータ共有してこそ情報は生きてくる

斎藤和宣(ディーバ)

2009-09-30 08:00

情報を共有する仕組みが必要

 「連結経営」を実践するにあたって、財務諸表を中軸としたマネジメントになることは前回(「上手くできていますか?--“予算策定”に見るマネジメントサイクルの重要性」)触れたが、そのことは決して財務諸表情報以外は不要であることを意味してはいない。PDCAサイクルの中で、具体的な“ACT”につなげるためには、財務諸表を構成する情報、その要因となる情報まで活用する必要がある。

 現在の連結会計システムでは、基本に財務諸表レベルの情報があり、それらを補足説明する情報を取り扱うことを前提にしていることが多い。

 具体的には、連結会計のために親会社がグループ会社から集めているデータファイル(一般的に「収集パッケージ」と呼ばれる)を見てみると、まずは貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)などの財務諸表を登録する画面が用意されている。それに続いて、勘定科目別の期中増減データやグループ内での取引、債権債務のデータ、あるいは勘定科目の内訳資料などで構成されている(本来はこれだけでは不十分なはずであるが)。

 逆に、こうした状況になっているのも、現在の連結経営のレベルを表しているのかもしれない。つまり、各社の企業活動は、その会社に閉じたシステムを利用して運営されていることが多く、親会社として子会社の状況などまったく分からないという状況である。そのため、月次や四半期のタイミングで、わざわざグループ会社から情報を提供/報告してもらう機会が必要になり、そのための仕組みを構築することになっているのだろう。

 そこで、連結経営情報として活用するために、最初からグループ各社の詳細情報を共有化することを考えておくのがいいのかもしれない。各社の財務諸表情報はもちろんのこと、それを構成する仕訳情報、さらに仕訳の元情報となる補助簿情報などがその候補だ。こうしたグループ情報の共有化ができれば連結経営のさまざまな局面で、その効果が期待できる。

図 IFRS適用を想定したグループ情報の集約と分散
※画像をクリックすると拡大画像が別ウィンドウで開きます

(1)グループ情報を横串で把握する

 「いったいグループ全体(連結ベース)で、A社とどれだけの取引があるのか?」「連結ベースでの製品別の損益はどうなってるのか?」といった質問に、どれだけの企業が的確に答えられるだろうか。共有するデータを活用することで、以下のさまざまな視点での分析が可能になると思われる。

1)市場別業績
欧州や北米といった地域別、国別、地方別など、顧客市場別の収益、損益、市場のシェアを把握することで、販売戦略の策定、見直しに有用な情報提供を可能にする

2)取引先別業績
グループ全体として、得意先別にどれだけの取引があり利益を獲得しているかを分析できることは、ひとつの重要な分析軸だと思われる。また、仕入れ先別にグループ全体の取引量を把握することも、最適な調達を実現するためにも必要になるだろう(ソリューションとして購買の集約化、シェアード化という形で実現している企業も多い)

3)製品別損益
連結ベースで製品(群)別、カテゴリ別などでの損益を把握することは、メーカーにとって、開発、調達、生産、販売活動の最適化を図るキモになる分析軸であるはずである

 これらの軸でのグループ全体にわたる横串での情報活用は、ほとんどの企業で実現しようと思いながら、実際はなかなか実現できないというのが現状だと思われる。

(2)個別と連結の“つなぎ役”になる

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