「通勤に若干の時間を要することもあり、毎朝5時に起床し、7時前には一度オフィスに出向きます。会社の向かいにジムがあり、そこで筋力トレーニングやプールでの練習を2時間ほど行った後に、通常勤務を開始します」と林さんは言います。
林さんが営業企画を担当するブレイブボードRipStikは、米国では半年で60万台を売ったヒット商品とのことですが、日本では全くの新製品です。林さんは一般の営業職として、スポーツショップへの電話でのアポ取りから、商品説明や商談折衝まで担当しています。「おかげさまで大型スポーツ店などとも取引していますが、まだまだ飛び込みでの営業訪問もやっています」と林さんは話します。

ブレイブボードは、スノーボードやサーフィンと同様に、バランス感覚を保つことで走る自走式の乗り物です。最初はちょっとコツがいりますが、現役スポーツ選手である林さんが、190cmという長身のスーツ姿で軽々と乗りこなす姿は、とてもインパクトがあります。これは営業戦略としても、かなりの効果があるのではないでしょうか。
スポーツと仕事の両立については、特に専属のトレーナーがいるわけではなく、すべて自己管理しているという林さん。国内では大きな競技会が年に3回あり、「その大会に合わせてトレーニングスケジュールを組み立て、アレンジしています。残業で終電になることもあり、キツイなと感じることもあります。スポーツと仕事のバランスをどう保つかは、まさに自己管理の世界です」と語っています。
「ワークライフバランスを実現できる人」とは?
林さんがどのような経緯でビタミンiファクトリーの社員になったのか、また以前のライフスタイルはどうだったのか、聞いてみました。
林さんは大学卒業後、商社に就職しましたが、世界大会への挑戦を目指して退職し、ライフセーバーとしての活動に専念しました。その後、トレーニングへの理解を得て、大手警備保障会社所属という形で競技活動を5年間続けてきました。しかし、その会社でのスポーツ特別待遇が打ち切られることになったのです。
「今後どのような形で活動を続けて行くかという課題を突き付けられた時、トップ選手でやるのもひとつだけど、海外ではすでにできている『サーフカルチャ』という分野の環境作りにも目を向けたいと思いました。そのためにどうすればいいのかを考えるようになったんです」(林さん)
そして、知人の出版記念パーティーに出席した林さんに転機が訪れます。そのパーティーで林さんは、以前から面識のあったビタミンiファクトリーの渡辺未来雄社長と話す機会がありました。「渡辺社長には以前から私の活動を応援していただいていました。『どんな夢があるのか』と尋ねられ、将来は海を守っていきたい、子供たちが楽しめる場所を作りたいと話していたら、『ライフセービングで飯は食べられないよ』と散々言われました(笑)。夢を実現するには資金が必要だし、事業として運営するにはノウハウも必要ですが、今まで競技に専念していた自分にはそういった知識が何もない、と分かった時に『ボードやるんだけどうちに来ない?』と声を掛けていただきました」と林さんは振り返ります。