キャリアを考える際の2つの視点
キャリアについて考える場合「2つの視点」がある。
1つは、就職や転職する際に、しばしばアドバイザーから勧められる「キャリアデザイン」の視点だ。
自分で自分の過去を振り返って、自分の適性や能力について再確認した上で、将来にわたる職業人生をデザインする。ここでは、あくまで自分の視点で自分のキャリアを考える。いわゆる個人が自発的に行う「キャリアプランニング」であり、自分本位の目線である。
もう1つは、企業が経営目標を達成するために、社員の1人1人のキャリアを管理し、計画し、開発していく「キャリアマネジメント」の視点である。
企業は、教育や訓練を行い、キャリアに関するアセスメントやカウンセリングをやり、ジョブローテーションや昇進などの人事施策を実行して、個人の視点とのズレをできるだけ少なくしようと努める。このズレが大きいと、人は企業から去ってしまう恐れがある。企業は優秀な人材を手放してしまわぬよう、キャリアをマネジメントしなければならない。
全くの一匹狼でキャリアを積み上げていく人は別として、多くの人が組織の中でキャリアを形成していくことになる。組織に属し、その中で自分が果たす役割や立ち位置を理解し、知識や技術や経験値を蓄積していく。このように人が個人から組織人、あるいは企業人になっていくことを「社会化」と呼ぶ。人は社会化されることで組織の一員になっていくのだ。