そしてもう1つ。われわれは常に未来の技術を提供したいと思っている。万が一古い世代の人たちがこの技術を使いこなせなくとも、FacebookやTwitterは今の若者がすでに使いこなしている技術で、こうした未来の世代の人間は問題なくChatterを使いこなすだろう。
--ChatterはまずSalesforce.comのユーザーをターゲットとして広めていくのか。
これまでもわれわれのサービスは、Salesforce.comの既存ユーザーが最初に使い、そこから広がっていくケースが多かったので、Chatterも同じような広まり方になるだろう。ただ、Chatterのいいところは、取引会社などともつながりを持てること。こうした方法でユーザーが広まっていく可能性もある。
それに、これまでのSalesforce.comのサービスは、直接顧客と接する機会のある部門でのみ使われることが多かったが、Chatterはメールのように全社員が使うことになる。Chatterを個別のサービスとして提供するのもこのためだ。CEOに直接メールを送ることは敷居が高くてできなかったかもしれないが、ChatterでCEOとつながっていれば、このシステムを通じて自分の意見をCEOに伝えることもできるのだ。
IT部門にとってもChatterは魅力的だ。TwitterやFacebookは外部サービスのため、社内のセキュリティポリシーに沿った運用ができず、こうしたサービスを利用する社員に対して危機感を持っていた管理者も多かったが、Chatterを使えばIT部門で管理もできるようになるからだ。
--ChatterはTwitterやFacebookとも連携しているというが、インターフェースも似ており、競合しているようにも見える。
われわれはTwitterやFacebookと協力していきたいと考えており、競合することはない。Twitterの取締役Jason Goldman氏が基調講演で登壇したことからもわかるように、彼らもChatterについてはとても前向きにとらえてくれた。
TwitterやFacebookはあくまでもコンシューマー向けのサービスで、われわれとビジョンは似ているがミッションが違う。彼らのサービスは公共の場で情報交換することが目的となっているが、Salesforce.comのサービスは企業内で起こっていることの情報交換ができる場所なのだ。TwitterやFacebookのような公共の場では、企業内で起きていることを書くことはできない。ただし、Chatterはこうしたサービスとも連携しているため、両方に情報をポストすることも可能で、巨大なデータベースを作り上げようと考えている彼らにとってもわれわれのサービスはメリットがあるのだ。