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「ベストセラーをクラウド化する必要はない」--セールスフォースに聞くPaaSの価値

梅田正隆(ロビンソン)

2010-02-04 15:07

 前回(枝を隠すなら森、データを隠すなら「雲」?--NRIセキュアに聞くクラウドのセキュリティ)は、情報セキュリティの観点からクラウドコンピューティングが抱える課題について考えた。今回は、クラウドによってリアルタイム性を獲得した開発基盤、いわゆるPaaSの価値について考えてみよう。

 PaaSによってSaaSビジネスを大成功させているのがセールスフォース・ドットコムである。同社のシニア プリンシパル アーキテクトである内田仁史氏に、リアルタイムクラウドの価値について話を聞いた。

旧来のものと全く異なるアプリケーションアーキテクチャ

 Force.comと同様に、PaaSに分類されるクラウドの開発基盤としては、「Windows Azure」や「Google App Engine」があり、あるいはIaaSの「Amazon EC2」も開発基盤の土台になり得る。これらのクラウドにリアルタイム性はあるのだろうか。

 内田氏は「ハードウェアや基本ソフト等のベースの部分には確かにリアルタイム性がある。ただ、その上のコンテンツについては、いずれの基盤においても、依然として旧来のモデルで開発しなければならない」と指摘する。

 「例えば、Google App EngineにおいてはJavaやPython、Windows Azureは基本的に.NETといった、旧来の言語でプログラミングし、従来のウォーターフォール型で開発して展開する。この部分にクラウドの価値であるリアルタイム性はない」と話す。

 Force.comでは、標準のカスタマイズ機能でアプリケーションを構築できる。このカスタマイズの容易さが企業に受け入れられた理由であるとする。基本のコンポーネントを組み合わせることによって、フロントエンドの多くの業務をカバーできる。ほとんどのユーザーはプログラミングをする必要がないという。

 内田氏は「そもそもエンタープライズアプリケーションのアーキテクチャが、旧来のものとはまったく異なるからだ」と話す。ビジネススキルを持っているエンドユーザーであれば、自分でコンポーネントを組み立て、構築できる環境だという。

 内田氏は「プログラマーに要求をトランスファーする必要がなく、開発の規模も大きくならないから、複数の人がコミュニケーションする必要もない」と話す。モジュールを組み合わせ、設定するだけであるため、バグが入り込む余地がなく、品質テストもほとんど必要ない。

Force.comのメリット セールスフォース・ドットコムが訴える「Force.com」のメリット

 しかし、すべての企業の業務プロセスをForce.comのコンポーネントの組み合わせでカバーできるわけではない。そこでForce.comでは、従来の手法によるカスタムアプリケーションの開発環境やテスト環境も提供する。Javaに似た「Apex(エイペックス)」という言語や「Visualforce」というウェブ画面開発ツールを使う。

 ただし、「ApexやVisualforceを用いた従来手法によるカスタム開発の比重が高くなるとForce.comのメリットは出ない。Windows Azureと同じになってしまう」と内田氏は言う。

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