社内ブログやSNSをうまく使って部署の壁を越えたネットワークを作る - (page 2)

後藤康成

2010-03-16 15:00

 多くの社内ブログにはSNSとしての機能も組み込まれている。社内ブログが目指すところは、企業において経営者や社員からの情報発信をリアルタイムに反映し、知りたい人や知らせたい人に適切な情報が適切なタイミングでデリバリされる環境を構築することだ。SNSの機能が内包されている場合は、そこから派生する組織構造にとらわれない社内コミュニティの醸成も期待される。

 社内ブログ、SNSの具体的な特徴をあげると、

  • 社内で知識を持っている人や組織が、イントラネット上に簡単にその情報を投入できる。
  • その情報をRSSフィードなどでメタデータ化できる(RSS化)。
  • 情報の更新をリアルタイムで通知できる。
  • 発信された情報にコメントができる。これによりコミュニティ化が図られる。
  • フィードリーダーで、発信される情報を購読できる。
  • 必要なときに容易に情報検索ができる。
  • 情報が必要な人に共有されて、再利用できる。

 社内ブログはこのような特徴を生かして、企業内の情報の透明化を促進する効果がある。

 社内ブログの導入と活用にあたっては、業務に必要なデータのみをルールにのっとって運用するグループウェアなどとは異なったノウハウが必要になる。導入を推進する側はあまり厳しいルールを設けずに、最低限のガイドラインのみを設け、気軽にエントリやコメントができるような雰囲気を作ろうとする場合が多い。

 多くの社内ブログでは企業内にオピニオンリーダーがおり、オピニオンリーダーが積極的にブログを書き、活発な情報共有を牽引している。興味のあるブログ記事や、記事に補足する情報がある場合には、他の従業員が積極的にコメントとして投稿することにより、情報発信が活発化されていくのである。

 社内ブログ、SNSの効果的な活用方法でよく言われるケーススタディとして「喫煙ルーム的なコミュニティ」がある。一般にオフィスの喫煙ルームは執務エリアとは別のエリアに設けられている。喫煙者はそこで、部署や上下関係をあまり意識せず、業務内容を中心とした雑談的な話題でリアルなコミュニティを形成する。

 その効果としては、リラックスした雰囲気の雑談の中から良いアイデアを発見したり、抱えている問題の解決に向けたヒントを見つけるといったことが挙げられる。社内ブログ、SNSも喫煙ルームのような部署間の垣根を超えたコミュニケーションの場として活用することにより、効果的な情報共有が行われるのである。

 社内ブログ、SNSには、パッケージ提供とSaaS提供の2つのタイプがある。

 パッケージ型では、サイボウズが提供し、SNS機能も内包した「サイボウズブログ」、大規模利用にも対応可能なシックス・アパートの「Movable Type Enterprise」などがある。SaaS型としては、NECが提供する「Social Tool Mart/SNS」などがよく知られている。また、導入ノウハウや最新動向の情報提供なども含めて、企業向けにブログ、SNSの構築を行うループス・コミュニケーションズといったユニークなビジネスを行っている企業もある。

 メールやグループウェアなどと比べると、企業内でのブログやSNSの活用はまだ日が浅く、現時点では「どんな企業にでも必ず導入されている」というものではない。しかし、もしあなたが入った会社にこれらのツールが用意されているのであれば、うまく活用することで、仕事をより楽しく、かつスムーズに進めるきっかけを作れることだろう。

Yasunori Goto
筆者紹介

後藤康成(ごとう やすなり)
フィードパスCTO。2005年、クラウドからビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立。「Zimbra」の日本市場展開、ビジネススケジューラの「feedpath Calendar」事業統括を担当するとともに、メールに代わる次世代企業間コラボレーションツールとして開発中の「feedpath Rooms」のエバンジェリストでもある。著書として「Web2.0 BOOK」など。Twitterアカウントは「feedpath」。

feedpath Roomsについて
フィードパスがクラウドアプリケーションとして提供する、企業間コラボレーションツール。メールに変わるコミュニケーションプラットフォームとして、メッセージ機能と共有ストレージ機能を提供する。

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