「クラウドアーキテクチャへの移行に仮想化は不可欠」--VMwareのSVPが語るリーダーへの戦略 - (page 2)

谷川耕一

2010-05-18 20:18

変革のリーダーとなるためのパートナー戦略

 もう1つの同社の戦略が、先日発表されたSalesforce.comとの協業による「VMforce」に代表されるようなパートナーとの協業だ。

 VMforceでは、VMwareが買収した「SpringSource」を活用することで、エンタープライズSaaSとして成功を収めているSalesforce.comのサービスにJavaの開発、実行環境を提供する。

 SpringSourceの買収で、IaaSのサービスからさらにPaaSのサービスにまでVMwareのソリューションは拡大した。VMwareとしては、「仮想化環境でどのOSが動くかよりも、クラウドで顧客のアプリケーションがきちんと動くことのほうが重要だと考えており、そのためクラウドの開発フレームワークに注力している」とRaghuram氏は説明する。そのために、SpringSourceの能力を拡大するような製品の買収を行っており、「RabbitMQ」や「GemStone」などがそれに当たるという。

 VMwareでは現状、クラウドのアプリケーション開発フレームワーク部分にデータベースのスタックがない。「クラウドではアプリケーションごとにキー・バリューやリレーショナルなど、さまざまなタイプのデータベースが必要になる。そのため、それらを自分たちでそろえることはチャレンジとなる。VMwareではさまざまなデータベースを用意するのではなくGemStoneを活用する」とRaghuram氏は説明する。GemStoneを活用すればデータベースの仮想化が実現でき、GemStone下にさまざまなデータベースを持つことでそれらを吸収する形をとれる。これにより、将来的に新たなデータベースのタイプが出現しても、柔軟に対応できるというのがその理由だ。

 「大きな変革が起きれば、そのときにはそれをけん引するリーダーが出現する。クラウドへの大きな変革の中で、VMwareはこれからもリーダーとしてやっていきたい」とRaghuram氏は抱負を語る。

 これまでのサーバ仮想化だけでは、リーダーの地位を維持し続けることはできない。まずはクラウドでのアプリケーション開発部分に注力し、さらにはSaaSなどさらなるクラウドソリューションの拡大にどう取り組むのか。そのためには、パートナー企業との協業もさらに拡大していく必要がありそうだ。

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