SAPジャパンは5月26日、国際会計基準(IFRS)導入時に発生する金融商品会計処理に関わる作業を簡素化するための導入支援テンプレート「SAP金融商品会計 導入文書テンプレート for IFRS」の提供を開始した。
同テンプレートには、「金融商品会計イベント一覧」「金融商品会計仕訳一覧」「会計仕訳定義テンプレート」など約8種類のテンプレートが含まれている。金融商品会計イベント一覧テンプレートでは、個々の金融商品に関して付随するイベントを整理。貸出であれば、契約締結、貸出実行、利息受取、返済などというように商品固有のイベントといったように、国内金融機関で一般に取り扱われる各種金融商品に対応したIFRSにおける会計仕訳パターンがあらかじめ定義、整理されている。
これを元に要件定義を進めることで、SAP金融商品会計ソリューション設定時の仕様書のひな形として利用できる。これにより、「SAP Accounting for Financial Instruments」導入時の工数削減と、IFRSにおける金融商品会計への対応で要件定義に費やす期間の短縮を図ることができるとしている。
金融機関にとってIFRS導入の際に特に負荷が高くなると想定されるのが金融商品会計だが、同社では、各種金融商品に対する会計仕訳の生成および補助簿管理を複数の会計基準で実現できるSAP Accounting for Financial Instrumentsを提供することで、金融機関のIFRS導入をサポートしてきたという。しかし、国内の金融機関では自社開発による勘定系システムにより会計仕訳処理を行っていることが多く、設計思想の異なる会計仕訳パッケージの導入には、勘定系システムとのマッピングや会計処理パターンの整理などの多くの作業が求められる。また、IFRSにおける金融商品会計に対応するには、まず金融商品ごとに従来の国内基準との処理の差異を明確にする必要があり、金融機関ではこの要件定義作業にも多くの時間を要していたという。
同テンプレートは、SAP Accounting for Financial InstrumentsのユーザーにSAPジャパンが提供する導入コンサルティングサービスの一環として提供される。SAPジャパンは、今後、国内のパートナー企業と連携しながら、同テンプレートを活用して国内金融機関におけるIFRS対応の支援を加速していきたいとしている。