NTTコミュニケーションズの年次イベント「NTT Communications Forum 2010」の特別講演に、ファーストリテイリング グループ執行役員の樋田真氏が登場した。「ファーストリテイリングの挑戦〜グローバル化に向けた民族大移動とIT化〜」と題して、同社が取り組むクラウド対応型の次世代IT構築を解説した。
ユニクロで知られるファーストリテイリングは、海外への事業展開に注力している。海外進出は2001年に開始しており、現在は英国、中国、香港、韓国、米国、フランス、シンガポール、ロシアに店舗を設けている。現在、ユニクロ事業での店舗数(2010年8月末)は国内808店舗に対し、海外136店舗となっている。
樋田氏は、「当社は製品やサービスなどを日本品質のまま全世界で提供している。欧米向けのやり方で挑戦しようとしたこともあったが、日本で打ち出し、日本人に評価されたサービスをグローバルに展開し、欧米やアジア地域でも受け入れられている」と話す。同社は中期計画で現状の売上高8148億円を2020年には5兆円へと成長させ、利益1兆円を目指している。
大幅な成長を実現させるためには、世界市場で規模を求めることが必要になる。
「中国を中心としたアジア市場の成長をてこにして伸長する。それにはブランディングが重要であり、欧米の主要都市で存在感を示していかなければならない。現状では売上げの約75%を国内のユニクロ事業が占めているのだが、国際的な展開を進めれば、いずれ従業員の半分が海外に出ることになる。一方、東京本部の要員も半数は外国人になるだろう」(樋田氏)
こうした成長戦略、成長構想は、正に「民族の大移動」を想起させる。
そこで同社は、グローバル展開を効率的に推進するため、個々の従業員が経営者の視点をもつ「Global One」「全員経営」の発想を基盤に、全世界に渡る単一のプラットフォームと、きめ細かな経営を目指す「マイクロマネージメント」を組み合わせた「G1プロジェクト」を推進している。