ネットスイート、クラウド型ERPの最新版をリリース--新たにワークフロー機能を装備

柴田克己(編集部)

2010-11-16 21:27

 ネットスイートは11月16日、同社が提供するクラウド型ERP製品の最新版「NetSuite OneWorld Release J 2010」の提供を開始したと発表した。

 NetSuite OneWorldは、主に複数の子会社を持つ多国籍企業向けに、ERP(財務、会計)、CRM、Eコマース、ビジネスインテリジェンス(BI)機能をパブリッククラウド形式で提供するもの。特に「Release J」は、日本市場向けに日本の会計基準に準拠した財務諸表、手形支払い管理、消費税計算などに対応するモジュールが追加されたものとなっている。

 新バージョンでは、ユーザーインターフェースを刷新し、より使いやすくしたほか、新たなビジネスプロセス構築ツール「SuiteFlow」の日本語版が利用できるようになっている。

 SuiteFlowでは、従来、NetSuiteを利用する各企業内で個別に開発する必要があったビジネスプロセスのフローを、GUIを利用してノンコーディングで実装できる。例えば、承認プロセスの実施のために、ある条件のもとで電子メールを権限保有者に送信し、その回答の結果によって、個別の処理を行うといったワークフローを、フローチャートを使った分かりやすいユーザーインターフェースで構築できる。同社では、この機能によって、特に海外拠点や子会社などに分散しているビジネスプロセスの可視化と共有、トレーサビリティの確保が、従来よりも容易に可能になるとしている。

SuiteFlow GUIによるビジネスプロセスの実装が可能な新機能「SuiteFlow」

 そのほか、関係会社間での在庫移動、通貨オプションの拡張、各国の税制対応の強化といった、グローバルでのビジネスマネジメント機能の強化が行われている。税制対応については、従来の米国、英国、オーストラリア、日本に加え、新たにドイツ、オランダ、ニュージーランド、カナダ、フィリピンへの対応が行われている。これにより、複数の国に展開する企業では、各国独自の税務報告や税計算に対応する負荷が大幅に軽減できるという。

 ネットスイート代表取締役社長の田村元氏によれば、同社では従来からの中堅、中小規模企業に加え、最近では特に「海外や国内の子会社を多く持つ中堅規模以上の導入ユーザーが増えており、現地法人やグループ会社に展開したNetSuite OneWorldと、本社のオンプレミスなERPを接続して利用する」ケースが増えているという。

田村元氏 ネットスイート代表取締役社長の田村元氏

 「海外拠点にはサーバを置かず、NetSuiteのクラウドでERPを展開することにより、ガバナンスの確保、現地オペレーションの最小化、状況のリアルタイムでの可視化、グループでのオペレーションの統一を実施したいというニーズが高まっている」(田村氏)

 合わせて田村氏は、2007〜2009年における米国とイギリスでのERPシェアの拡大率において、NetSuiteがいずれもトップとなっている調査結果を披露。「マルチテナントによる経済性の追求、バージョンレス、インターネットで使われることを前提とした設計、クライアントとして必要なのはブラウザのみといった“真の意味でのクラウドの定義”をNetSuiteはすべて満たしている」とし、その優位性を強調した。

 NetSuite OneWorld Release J 2010の利用料は、基本料金が5万5000円。月額利用料は、1企業(10拠点まで)あたり21万円。そのほか、1ユーザーあたりの月額利用料が8700円となる。価格はいずれも税別。

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