第1回で述べたように、ウォーターフォール型開発には限界があり、最近激しさを増すビジネス環境の変化に迅速に対応するためには、アジャイル開発を採用した方がよいケースが多くなってきているのは事実です。
しかしながら、ウォーターフォール型開発に慣れ親しんだ人たちにとっては、アジャイル開発の採用に高いハードルがあることも理解できます。ウォーターフォール型開発に工夫を施すことにより「変化」に対応できるのであれば、そうした方がよいでしょう。それでも対応できないならば、覚悟を決め、ハードルを乗り越える努力をしなければなりません。そうしないと、グローバル化の度合いを増す最近のソフトウェア開発の流れに取り残されてしまいかねません。
今回はアジャイル開発の普及を阻んでいる要因について考察してみました。しかし、日本国内においてアジャイル開発が進まない最大の要因は、商習慣と密接に関連する「一括請負契約」にあると言われています。最終回となる次回は、一括請負契約の是非を問うと同時に、アジャイル開発に適した契約形態について考えていきたいと思います。
(第3回「アジャイル開発を円滑に行うための契約モデルを考える」につづく)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)
エンタプライズ系プロジェクト
研究員:柏木雅之 プロジェクトリーダー:山下博之
IPA SECは、より信頼性の高いソフトウェアを効率よく開発できるようにするため、開発プロセスの標準化や改善、プロジェクトの“見える化”や“測る化”などの分野で産学官の力を結集してソフトウェア技術の開発・普及や人材の育成に取り組んでいます。
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