矢野経済研究所は6月29日、東日本大震災後の安否確認システム導入意向に関する調査結果を発表した。
震災以前に安否確認システムを導入していない企業に導入意向をたずねたところ、「ぜひ導入したい」「できれば導入したい」の合計が53.0%に達した。矢野経済研究所では、震災直後の混乱の中で従業員との連絡体制を確立することの難しさと必要性を実感した企業は、専用ソリューションの導入を前向きに検討していると分析している。
一方、震災前に安否確認システムを導入していた企業のうち、24.6%が「大震災時にシステムが正しく機能しなかった」と回答。理由で最多となったのは「通信回線の不通」だった。安否確認システムの多くが、携帯電話や携帯メールで安否を回答する仕組みを採用しているが、震災後は携帯電話が通話、メールともに通信不能になった。同社では、サービス事業者は、首都圏直下型地震などによるさらに深刻な通信障害をも想定し、サービス改善に取り組む必要があると提言している。
また、安否確認や緊急連絡を目的として、今後SNSを利用する意向については、38.9%の企業が「利用を検討したい」と回答。携帯メールが不通となるなかで、TwitterなどのSNSが連絡手段として活躍したことは注目を集めたが、同社では今後、Facebookの利用や企業用SNSの導入など、安全対策ツールとしてSNSを活用する企業が増えると予測している。
この調査は、売上高1億円以上のユーザー企業600件を対象に、ウェブアンケートを通じて5月に実施された。