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IT環境の整備を望む仮設住宅--IT業界はリーダーシップを示せるか - (page 2)

冨田秀継 (編集部)

2011-09-13 16:26

なぜ団結できないのか

 「電気、ガス、水道を引くときに、なぜ一緒に光回線を引けなかったのか」−−プロジェクトのメンバーはこう嘆息する。「ネット環境を整えたら、情報を受信するだけでなく、発信することもできるのに……」

 南三陸町を取材すると、仮設住宅のすべてに光回線を(物理的に)引くのは非常に難しいことが分かる。山を越え、谷を超えて、100世帯に満たないたくさんの集落に光回線を引くのは、途方もない作業だ。復旧のリソースが有限であればなおのこと、先に解決すべき課題もあっただろう。

 あるメンバーは、技術的な課題も踏まえた上で言う。

 「(他の業界と)一緒に取り組めないのは、IT業界がまだ若くて弱い証拠だ。建設業界を見てみるといい。業界全体で国に働きかけて、実際に(状況を)動かしている。事業性のある取り組みだが、助けになるならそれでもいい」

 筆者自身とても残念に感じるのは、IT業界のピラミッドの頂点に君臨し、大きな影響力を持つプライムベンダーと言われる企業が、地域社会を支え、変えるために、他社と連携してアクションを起こさなかったことだ。

 震災直後、多くのIT企業が人材、物資、金銭面で支援を表明した。ZDNet Japanでは4月、各ベンダーに対して「無償提供した製品、サービスの活用実績に関するアンケート調査」を実施し、その一部を「緊急営業会議:3.11後のITビジネスと営業の役割」で発表した。結果は、クラウドサービスなどで成果をあげる企業もあったが、多くの企業で活用例はゼロ、もしくは非常に少ないという結果。ベンダーと被災地の間で、情報とニーズにギャップがあることをうかがわせた。

 半年を経た今、「人、物、金」をバラバラに支援するフェーズは終わったと考えていいだろう。これから必要なのは、長く続けられる支援の構築だ。そのためには、その地で実際に生活する人、支援する人との対話が欠かせない。そして、取材を通して実感したのは、時には厳しいであろう合理的な提言との対話こそ必要ということだ。

 大企業の経営者が動かないのであれば、東北六県のIT企業やベンチャーが動けばいい。成果は事業化してもいいだろう。それが利権になるのなら、批判すればいいだけだ。それぞれが異なるアプローチで同じゴールを目指せばいい。

 現場で対話を重ねて課題を解決し、ボトムアップの力で地域社会を支え、変えていく−−取材の間、そんな様子や機能を端的に示す言葉はないかと考えていた。9月12日、帰京する新幹線の中ではたと頭をよぎった言葉がある。それは「リーダーシップ」だ。

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