米オラクル、ビッグデータ対応アプライアンス--NoSQLやHadoopに対応 - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2011-10-05 11:33

 これらのNoSQL DatabaseやData Integrator Application Adapter for Hadoop、Loader for Hadoop、R Enterpriseは、Big Data Applianceから独立したスタンドアロンのソフトウェアとしても使用できるという。

 Oracleは今回のBig Data Applianceについて、Oracle DB 11gやExadata、同日に発表されたビジネスインテリジェンス(BI)専用機「Oracle Exalytics Business Intelligence Machine」との統合が容易で、エンタープライズクラスのパフォーマンスや可用性、サポートレベル、セキュリティによって、さまざまな種類のデータセットに対して高速な分析が実現するとしている。

 Big Data Applianceを構成するソフトを見ると、時代の潮流に沿ったものと言える。NoSQL Databaseは現在注目されているKVS型DBであることがそうだし、ビッグデータの処理するものとして大きな注目を集めているHadoopへの対応策として活用されるData Integrator with Application Adaptor for HadoopやLoader for Hadoopも潮流にあったものだ。時代の潮流という点で興味深く思えたのが、Rへの対応策だ。

 現在「ビッグデータの解決策=Hadoop」という図式ができあがりつつあるが、あくまでもHadoopは分散並列処理のフレームワークであって、Hadoopがあればビッグデータに眠る価値ある情報を見つけられるというわけではない。そんな状況の中でHadoopほど目立った存在ではないが、Rは使いやすい統計解析環境としてにわかに注目を集めている。データの大海に眠る隠れた財宝を見つけるには、やはり統計の専門知識を持ったプロの技が必要だ。OracleがR Enterpriseを開発したというのは、そうした点から注目できる。

 Mendelsohn氏はビッグデータの特徴として“4つのV”があると説明する。そのVとは“Volume(容量)、Velocity(速度)、Variety(種類)、Value(価値)”だ。

 この中のVarietyとはつまり「構造化データだけではなく非構造化データにも大きな意味が眠っているのではないか、非構造化データも分析しよう」という動きと言える。これがBig Data ApplianceがExadataやExalyticsとは違う存在理由だ(もちろん、Big Data ApplianceはExadataやExalyticsと連携して、より分析力を高めることができる)。

 Mendelsohn氏がValueについて、「ビッグデータは容量が大きいが、実際には価値の低い情報が多く含まれている」と説明する。

 たとえば、小売店がGPSを活用して消費者が店に近づいた時にスマートデバイスにクーポンを送信することで売上を伸ばすという施策を取ったとする。この時に、消費者が店に近づいた時にクーポンを送信できればいいが、GPSの精度次第で、消費者が離れていく時にクーポンを送信するという事態も起こりえることだ。

 ビッグデータには売上増加につながる“金脈”が眠っていることは確かであり、ビッグデータには積極的に取り組むべきである。しかし、ビッグデータへのアプローチとして力業でむやみやたらに地面を掘っていればいいというものではない。企業として投資をする以上、効率的なやり方が求められているということを忘れてはいけない。

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