iMacの販売に関しては約20社の販社だけと契約を結び、さらにそれらの販社においても特定の店舗だけで取り扱いが許されるという仕組みとしたのだ。長年、Apple製品を取り扱っていた販売店からは当然反発の声があがった。
この時の大胆な流通施策はそれだけではなかった。販売店への卸価格も大幅な見直しが行われ、販売店が得られる利益率は、Windows PCに比べて少ないという状況に陥ったのである。
その結果、販売店は利益確保のために定価で販売しなくてはならず、発売直後から2割引きというような従来のPCの販売方法を大きく変えることにもつながったのだ。
国内における当時のPOSデータの集計でも、iMacの平均販売価格だけは定価の17万8000円のままという状況がずっと続いていた。秋葉原の販売現場では、1976年にNECが発売した初のマイコンキット「TK-80」以来の定価販売として話題となったほどだ。
この流通施策の基本的な考え方は、2001年5月に第1号店をオープンした同社直営店のApple Storeへとつながっている。
Apple Storeに行けば、製品の使い方を専門スタッフに説明してもらい、セミナーを受けることも、使い方を相談をすることもできる。安心して購入し、利用できる環境が整っているのだ。初めてApple製品を購入するというユーザーが増え、Appleのシェアが着実に拡大してきたのは、こうした流通戦略が成功していることの証でもあろう。