SNSで友達増えると頭が良くなる?

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2011-10-25 08:00

 ロイターの伝えるところによると、Facebook上の友達の数と脳の特定の部位の大きさに相関関係があるという。イギリスの大学が学生を対象として行った調査の結果として明らかになったものだ。ただ、継続的な調査を行った訳ではないので、友達が増えたから脳が大きくなったのか、脳が大きいから友達が多いのか、その因果関係ははっきりしないという。

 まぁ脳が大きくなるかどうかは別として、SNSが存在していることにより、我々の脳の働き方、つまりは考え方や行動様式は変わってゆくのは間違いない。Facebookが社会を変える原動力となり、人と人とのコミュニケーションや関係性を変えつつあるのは現在目撃している事実である。そうした状況に対して、我々はそれを受け入れたり、拒絶したり、試行錯誤をしてみたりと、何らかの形で消化、つまりは適応しようとする。

 そもそも人間とは、他の生き物との対比で言えばソフトウェア型である。つまり身体的能力という点では極めて脆弱であり、素のままでは力が強い訳でも、歯が鋭い訳でも、水中に住める訳でも、空を飛べる訳でもない。つまり、ハードウェアは大したことは無い。一方で、OSとも言える脳が発達しているが故に、あらゆる環境に適応し、ハードウェアの弱さを乗り越えることが出来る。

 つまり、SNSにより、望もうが望むまいが、社会における関係性が変わる以上、人間はそこへ適応しようとし、その優劣が社会における生存力に関わってくる。それを軽視すればどうなるかは、現在の社会状況が示す通りである。現在設立準備中のMovenbankという金融ベンチャーは、その顧客の信頼度を金融面での信用履歴だけではなく、SNS上での信用力や影響力を加味する“CRED”という基準で判断するという。

 今後、個人の信用力においてSNS上の影響力がどの程度の価値を持つこととなるか判らない。しかし、社会における価値観は変化するものである。そして、それに適応し損ねると、その個人の社会的価値は減衰し、そこで生き残っていくことが難しくなる。ところが、かく言う私は結構アナログ指向(この区分自体が既に死語)で、自らの将来は結構危ういと見ている。

Keep up with ZDNet Japan
スティーブ・ジョブズに関する記事は、特集「スティーブ・ジョブズの功績」や、CNET Japanの「特集:スティーブ・ジョブズ」にまとめています。
ZDNet JapanはFacebookページTwitterRSSNewsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。現在閲覧中の記事は、画面下部の「Meebo Bar」を通じてソーシャルメディアで共有できます。

飯田哲夫(Tetsuo Iida)

電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]