日本マイクロソフトは11月15日、次期リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)として「Microsoft SQL Server 2012」(コードネーム:Denali)を2012年上半期(1~6月)に提供することを明らかにした。現在、コミュニティー技術プレビュー(CTP)3が公開されている。評価ガイド(日本語)も提供されている。
次期版のSQL Server 2012は現行のSQL Server 2008 R2とはエディション構成とライセンス体系を変えている。現行のエディションはDatacenter、Enterprise、Standard、Workgroup、Webなど計6つで構成されている。SQL Server 2012ではEnterpriseとBusiness Intelligence、Standardという3つのエディションに簡素化している。
Standardは部門用のアプリケーション基盤やビジネスインテリジェンス(BI)向け、Business IntelligenceはStandardの全機能を包含するとともに、全従業員向けのレポーティングと分析の機能、セルフサービスBI機能として「PowerView」「PowerPivot」を提供する。
EnterpriseはBusiness Intelligenceの全機能を包含、同時に全社用のアプリケーション、ミッションクリティカルなアプリケーション、統合基幹業務システム(ERP)など“ティア1”といわれるアプリケーションの基盤として活用できる。プライベートクラウドや大規模仮想化の基盤、大規模なデータウェアハウス(DWH)、全従業員や外部向けのBI基盤にも対応できるとしている。
マイクロソフトの斎藤泰行氏(サーバープラットフォームビジネス本部クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部エグゼクティブプロダクトマネージャー)は「SQL Server 2008は多くのエディションをそろえてニーズに合わせたラインアップにしたが、どれを選んだらいいのか分からないという声を頂いた。SQL Server 2012では、われわれからエディションを提案することにした」とエディション構成を簡素化した背景を説明している。
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可用性が向上
SQL Server 2012には(1)AlwaysOn(2)ColumnStore Index(3)Data Quality Service(4)インメモリTabular型OLAPエンジン(5)PowerView――という新機能が搭載されている。
(1)のAlwaysOnは可用性を高めるためのものであり、「障害対策、災害対策、負荷分散を1つの機能として提供する」という。「Windows Serverのフェイルオーバークラスタリングとデータベースミラーリングのメリットを融合させた」と説明する。AlwaysOnでは、最大4台のセカンダリに複製が取れ、同期/非同期モードで複製処理を行い、自動と手動の両方でフェイルオーバーできるようになっている。
東京にデータセンターにプライマリを置いて、同じデータセンターの中にアクティブセカンダリを配置して、プライマリとアクティブセカンダリは常に同期を取り、自動でフェイルオーバーするということができる。同時に大阪のデータセンターでは、アクティブセカンダリに同期を取るが、フェイルオーバーは手動で展開、札幌と福岡のデータセンターにはそれぞれセカンダリを置いて非同期でデータの複製を取るといったことも可能だ。
AlwaysOnでは、「仮想名」という形式でプライマリとセカンダリをアプリケーション側に認識させることで、フェイルオーバー時にアプリケーション側でデータベースの変更をする作業が不要になり、アクティブセカンダリで処理負荷を分散させることができる。アクティブセカンダリではリアルタイムでデータ読み取りも可能という。バックアップを使った開発環境の構築、読み取り操作を使用するデータ分析に、アクティブセカンダリを利用するといったことも可能としている。