(2)のColumnStore Indexはインメモリ型BI機能のPowerPivotを応用したものであり、列単位でインデックスを格納して、同一データ型を高速に圧縮できるという。日次集計や月次集計など、参照処理を行うDWHのパフォーマンスを劇的に向上できるとしている。「1億2000万件のデータ処理で最大100倍もの性能向上がみられるようになっている」(斎藤氏)と説明する。
このColumnStore Indexはビッグデータ対応技術と言えるが、(3)のData Quality Service(DQS)もそのひとつと言える。DQSは、DWHのデータ品質を向上させるためのものであり、具体的にはデータクレンジングや名寄せなどの処理サービスを提供する。散在するマスタデータからDWHに統合したデータの品質を改善できるようになるとしている。
BI機能を強化
SQL Server 2008ではデータ分析基盤としてAnalysis Serviceを提供し、多次元OLAP(オンライン分析処理)の機能を搭載していたが、SQL Server 2012ではAnalysis Serviceを強化するために(4)のインメモリTabular型OLAPエンジンを追加している。インメモリTabular型OLAPエンジンは、“BI Semantic Model”と呼ばれる手法を取ることで、OLAP用データベースを容易に作成できるという。この技術は「仮想的にOLAP用のキューブを作る」(斎藤氏)といい、「従来の多次元OLAPよりも速く処理できる」ことがメリットとしている。インメモリであることから、データを「メモリにのせればあとはサクサク動く」と説明している。
SQL Server 2008では、データの“見える化”を図るための技術としてPowerPivotを搭載している。このPowerPivotを進化させて“見せる化”させる機能になるのが(5)のPowerView(コードネーム:Crescent)だ。
PowerViewは、Silverlightベースのレポーティングツール。SQL Server 2008に搭載されているReporting Servicesは定型レポート作成に利用されるものであり、「見たいデータがはっきりと決まったものに対して、さまざまな形で表現することに最適なツール」とされている。PowerPivotをExcel上で展開するPowerPivot for Excelは、エンドユーザーが「試行錯誤しながらさまざまな分析機能を利用してデータから新しい発見を探すことに長けたツール」という位置付けだ。今回のPowerViewは、その中間にあるものと同社は位置付けている。
PowerViewでは、蓄積されているさまざまなデータから必要なデータをクリックで選択して、それを円グラフや棒グラフなどのさまざまな種類のチャートで表示。チャートの中身をクリックするとドリルダウンして、より細かなデータを見ることができる。加えて、表示するデータを重ねたり時系列でさかのぼったりすることもできる。
「エリアごとの販売実績を見て、グラフでクリックして関連商品の状況を見ることもできる。さらに売り上げと数量と利益率をカテゴリ別に見た後で、単品別に分析することもできる。単品での売り上げの推移を時系列にさかのぼって分析することもできる。ネット上の“つぶやき”を蓄積しておけば、商品が急激に売れるようになったのは、つぶやきのおかげということも分かるようになる」(斎藤氏)
既存のレポーティングツールはレポート作成者の気付きをもとに作成される、スタティックな情報を表示するためのものだ。そのレポートを「会議に持っていっても、レポート作成者には見つけられなかったデータがあると指摘されると、そこで会議は終わってしまう」(斎藤氏)。
このPowerViewでは、会議の参加者全員で「データをダイナミックに変化させながら、データを分析することができる」とその活用方法がこれまでにないものであることを強調している。PowerViewでどういったことが可能になるのか体験できるようにオンライン体験サイトが同日から公開されている。