#3:ケーブルマネジメント用の機材を使用しない
ケーブルマネジメント用の機材を配備するというのは「あれば便利である」というレベルで捉えられがちである。ラダーラックや、ラックベースのケーブルマネジメント機材といったものを追加することで、コストが増大する。しかし、将来のメンテナンスはずっと、ずっと楽になるはずだ。ケーブルの敷設作業は初期工事だけで終わるのではないということを忘れないでほしい。ケーブルのさらなる追加や、ネットワーク環境の変更も起こり得る。また、後のことを考えて、ケーブルにはちゃんとラベルを付けたり、色分けするなどし、何らかのかたちで識別できるようにしておいてほしい。
#4:電気配線とケーブルを並行するように敷設する
シールドが施されていないツイストペア(UTP)ケーブルを用いてデータ回線を敷設する場合、この項目は特に重要となる。こういったケーブルでは、内部を流れる低電圧の電流によって生成される磁場が、通信品質を高めるために重要な役割を果たしているのである。シールドされていないこういったケーブルを電気配線と並行して敷設すると、磁場がかく乱されることで、通信時に雑音や歪みが発生してしまうというわけだ。そして多くの場合において、2点間の通信が行えなくなってしまう。そうならない場合であっても、何度もリトライが発生するため、通信速度が著しく低下することになる。
電気配線が近くにある場合、並行に敷設するのではなく、直交するように敷設してほしい。
ここでちょっとした昔話をしてみたい。筆者は1990年代の後半に、新たに敷設した同軸ケーブルがきちんと機能していないため、その理由を調べてほしいという依頼を受けたことがある。問題の接続は、隣接している建屋間のものであった。現場に到着した後、頭上を見上げると、同軸ケーブルは2つの建屋をつなぐ電線に絡みつけられるように敷設されていた。問題の原因を洗い出すのは、もちろん簡単なことだった。
#5:「雑音を出す」デバイスや設備の近くにケーブルを敷設する
データ回線用のケーブルに飛び込んでくる雑音は、電気配線からだけというわけではない。蛍光灯やモーターといった電磁波障害をまき散らす機器によっても、あなたのケーブルインフラは多大な影響を受けるのである。こういった障害物を避けるようなケーブルの配線経路を、あらかじめ計画に組み入れておくようにしてほしい。