日本ユニシスが中期経営計画で挑む体質転換--脱メインフレームが必要

大河原克行

2011-12-26 15:19

 「ぬるま湯的な体質と、高い固定費体質の改革が遅れたことが要因」——。

 中期経営計画を発表した日本ユニシスの黒川茂社長は厳しい表情でそう語った。

 今年6月に社長に就任した黒川氏にとって、今回の中期経営計画は自らの通知表の指標を初めて設定したものとなる。

 計画で設定した合格ラインは、売上高で2800億円、営業利益率が5.0%、当期純利益は80億円、ROEは8.8%、ネットD/Eレシオで0.5倍以下だ。

日本ユニシスの黒川茂社長
日本ユニシスの黒川茂社長

 「3年間でコアビジネスの拡大による収益基盤の安定化を目指す」とする一方、「新規ビジネスを成長させ、早期に売上高3000億円、営業利益率6〜7%を目指す」との努力目標も明らかにする。

 そしてもうひとつの目標として「A格企業への復帰」を掲げ、営業利益率で1桁台後半、EBITDAで300億円、自己資本比率45%程度、ネットD/Eレシオで0.5倍程度を目指すという数値も示してみせた。

 だが、「過去4年間に渡り激しく落ち込み、財務体質も厳しいなかにある。収益低迷傾向を食い止め、持続的成長に向けた体質改善が急務である」と、まずは止血が優先課題であるとの姿勢もみせる。

 2010年度実績で1216億円の総経費を、2014年度までに15%削減し、1030億円規模に抑える。その一方で事業構造の変革に伴い、現在9300人の社員数を8000人体制に縮小する計画も止血の一手。人員削減は「必達目標」とも宣言する。さらに、業績評価の徹底を含めた厳格な人事制度の改革にも踏み出す姿勢をみせる。

 一方で、成長戦略については、コアビジネスにおける地盤強化があげられる。

 日本ユニシスのコアビジネス分野はシステム&ネットワークインテグレーションであり、「企業のビジネス戦略に合致したICTの最適化、顧客接点やマーケティング分野での展開、製造および流通業を中心としたグローバル対応、金融市場再編や制度改革対応などでビジネス機会を拡大したい」とする。

 2014年度までの売上高の年平均成長率で、システムサービスで15%増、アウトソーシングサービスで27%増、ネットワークサービスで11%増を見込んでおり、「サービス連鎖の強化、ソリューションビジネスの強化、インフラサービスの強化、運用保守サービスの強化、お客様の海外進出支援強化を重点戦略に掲げる」とする。

 ソリューションでは、同社が得意としていたカスタマイズを前提としたソリューションサービスから、カスタマイズを最小限にしたソリューションサービスへの転換を図ることを明確に打ち出し、次世代流通基盤「CoreCenter」や、すでに9行の採用が決定している金融機関向けの「S-BITS」などの戦略ソリューションの展開も強化していく姿勢をみせる。

 その一方で、将来的な事業基盤の構築には、新規ビジネスへの積極的な取り組みがあげられる。

 新規ビジネスでは、パートナーとの共創ビジネスやBPO事業展開、社会基盤ビジネスをあげ、「気持ちとしては、2014年度には100億円規模のビジネスに育てたい」(黒川社長)と語る。

 こうしたなか、日本ユニシスは、中期経営計画のなかではメインフレーム依存体質からの転換をさらに加速させる必要がある。

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