2012年にIT部門が知っておきたい11のこと--ガートナー展望を読む - (page 3)

田中好伸 (編集部)

2011-12-29 13:32

2014年までに、米国内で消費されるアジア調達の完成品や組み立て品の20%が北米や中南米に移行する

 米国市場で活動している企業の多くが、政治や経済、環境、サプライチェーンなどのリスクを回避するため、調達先をアジアから北米と中南米にシフトさせているという。固有の製造工程や製品の知的財産権が関係している場合を除いて、ほとんどの製品がこうした調達先見直しの対象になっているとしている。世界的な原油価格の高騰、多くのオフショア市場での賃金上昇、オフショアやアウトソーシングに伴う目に見えないコストによって、在庫移動コスト、リードタイム、需要変動、製品品質などサプライチェーンの重要な要因を考慮していないコスト削減の効果が損なわれることになると説明している。

2016年までに、新たな脆弱性を狙ったサイバー攻撃で、経済的損失は年間10%の割合で増加する

 クラウドサービスの利用とエンドユーザーが所有するモバイル端末の利用で、新たな脆弱性が見つかると指摘。この脆弱性を悪用した金銭目的の強力な攻撃手法が出現するという。新しい脆弱性による標的型攻撃は確実に経済基盤に影響を与えると予測している。

2015年までに、80%のクラウドサービスの価格に燃料サーチャージが含まれる

 クラウドプロバイダーがサービス提供の拠点を戦略的に決定する中で、コスト管理において税制優遇措置は長期的な解決策とはならず、再生可能エネルギーへの投資は引き続いて高いレベルで推移するという。すでに一部のクラウドデータセンタープロバイダーは価格パッケージに燃料サーチャージを組み込んでいる。

 Gartnerはこのトレンドが急速に高まり、価格圧力や横並び的アプローチを背景に、クラウドプロバイダーの大部分が採用するだろうとみている。ユーザー部門のリーダーやIT部門のリーダー、調達担当者は、今後のクラウドサービスの契約では、燃料費が個別の変動品目として含まれるようになることを見越しておく必要があると提言している。

2015年までを通じて、Fortune 500にランクする企業の85%以上がビッグデータを競争優位性確保のために効果的に活用することに失敗する

 スマートデバイスに対する現在のトレンドやネット接続環境の向上などから、利用できるデータの量が飛躍的に増えている。だが、活用するデータの複雑さ、多様性、スピードという要素が組み合わさることで、データ活用の課題はビッグデータという言葉が暗示する、データの量が膨大であるという単純なものではなくなると指摘する。

 データを収集し分析するだけでは十分ではなく、データをタイムリーに提供することで、組織の生産性や収益性、効率性を目に見える形で効果をもたらす意思決定に直接貢献できるようにしなければならないと提言している。だが、大部分の企業ではビッグデータに関する技術面の課題と管理面の課題の両方に対する十分な準備が整っていないため、このトレンドを効果的に活用し、競争優位性の確保につなげられる企業はほとんどないと指摘している。

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