SAPジャパン、ERP以外の事業が全売上の55%占める--安斎社長、成長戦略を示す

冨田秀継 (編集部) 2012年01月31日 21時04分

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 SAPジャパンは2011年度、前年度比21%増となる6億2500万ユーロ(約630億円)を売り上げた。売上の55%以上はERP以外の売上だったという。同社が1月31日に開催した2012年の戦略記者会見で、代表取締役社長の安斎富太郎氏が明らかにした。

 この期間、同社のソフトウェアの売上は35%増で、グローバルの25%増とAPJ(アジア太平洋地域と日本)の31%増を上回った。ビジネスアナリティクス(BA)関連の売上は50%増だったという。(SAPの会計年度は1月から12月、日本円は1月31日時点の為替レートで計算した)

SAP代表取締役社長 安斎富太郎氏
SAP代表取締役社長 安斎富太郎氏

 安斎氏はBAのような新しい分野が成長をけん引したとの認識だが、「日本もERPは二桁の成長。全体でバランスの取れた実績となった」とコメント。「2010年の売上は60%がERP、40%がERP以外だった。1年経ってERPが45%、ERP以外が55%となった。ERPの伸びを凌駕するように新分野が伸びている」と述べている。

 また、SAPジャパンのソフトウェアの売上はグローバルのソフトウェア売上の4%程度だが、インメモリコンピューティングの「HANA」は8%だという。安斎氏は「HANAについては、日本が市場をけん引しているといえる。(採用企業も)すでに20社を超えた」と自信を見せる。

 こうした新しい領域の成長に合わせ、SAPは「アナリティクス」「モバイル」「アプリケーション」「データベース&テクノロジー(ミドルウェア)」「クラウド」の5分野を重点領域と定め、投資を集中させる。

 安斎氏は「アプリケーション、モバイル、アナリティクスについては、市場に地位を持ってリードしていると自負するが、ミドルウェアとクラウドはまだまだだ。将来的にはすべての分野において市場でリーダーシップを持てるようにする」と抱負を述べた。

 重点領域であるアナリティクスでは、2011年はBusinessObjectsとERPの連携を強化したが、2012年はHANAとの連携を強化。「ERP on HANA」を実現し「新のリアルタイム経営を強めていく」(安斎氏)としている。

 モバイルでは専任体制を強化し、人員を3倍に増やす計画だ。アプリケーション分野では、統合エンタープライズアプリケーション「SAP Business Suite」の保守期間を2020年まで延長した。従来は2015年までの保証だった。

 データベース&テクノロジー(ミドルウェア)では、SAPとSybaseの統合を推し進めたい考え。「SAPとサイベースの製品の垣根をなくしていく。すべてのSAP製品はHANAをバックボーンとして動かす」と安斎氏は述べている。クラウド分野ではパートナーとの協業を中心に事業を強化。1月16日にはその成果として、NECとSAPが業務提携し、課金アプリケーションをSaaSで提供することを発表した。

 SAPは今年創業40周年、日本法人も20年目という節目の年になる。安斎氏は「まだ若い会社だが、日本のナショナルアセットになりたい」と意気込みを見せている。

  • 5分野を重点領域と定めて集中投資を図る

  • すべての重点領域の基盤にHANAを据える

  • パートナー関連の売上は46%増、2012年も協業を強化する

 SAPでは2015年を目処とする中期目標として、売上200億ユーロ、営業利益率35%、10億ユーザーの獲得、クラウドでの20億ユーロの売上、最も成長するデータベース企業——の5つを掲げている。

 この目標は、見方を変えるとポイントが見えてくる。

 10億ユーザーの獲得にあたっては、ERPなどのアプリケーション分野だけでなく、モバイルやクラウド分野で規模の追求が必須となる。「ユーザーのユーザー」(日本では「お客様のお客様」などと言われる)まで含めての目標であれば、iTunesのバックエンドでSAPが稼働していること一つとっても、達成できる範囲にあるといえよう。

 また、総売上200億ユーロという目標を踏まえてクラウド事業の20億ユーロを考えれば、クラウド関連事業だけで総売上の10%を獲得しようとしていることがわかる。SaaS型ERPの「Business ByDesign」などを通じて成長させるのであろう(日本では未提供)。2010年に提供を始めたBusiness ByDesignは真っ先に中国で販売を始めており、成長著しい新興国でありIT化の余地がまだ残っている国であること、そして多くの人口を抱えていることから、クラウド事業とユーザー数という2つの目標達成に寄与するだろう。

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